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学生実験

バイオ医薬品に利用される遺伝子組み換え技術を体験してみよう

高校生のための応用生物実験講座「バイオ医薬品に利用される遺伝子組み換え技術を体験してみよう」を開催しました。実験ではオワンクラゲの緑色蛍光タンパク質(GFP)を材料として用い、その遺伝子を大腸菌に導入してタンパク質を発現させます。大腸菌内で発現した緑色蛍光タンパク質(GFP)を抽出して、電気泳動(SDS-PAGE)で解析しました。
講師は、医薬品コースで遺伝子組換え技術を用いた創薬研究をおこなっている佐藤淳教授です。
そして、佐藤研究室(生物創薬研究室)に所属している大学院生がTAとして、実験のフォローをしました。

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まず始めに、マイクロピペットの使い方を学びました。

1mLって何μL??
では、20μLってどのくらいの量?
など生徒たちは考えながら、練習をしました。

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ピペットマンの使い方をマスターしたところで、次にGFP遺伝子導入大腸菌をリゾチーム・凍結融解法を用いて、破壊しました。

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そして大腸菌に含まれる全タンパク質をSDS-PAGEで解析しました。

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ウェルの中にサンプルをアプライしていきました。
震える手を抑えながら、真剣に一つ一つのサンプルをアプライしていきます。
泳動後、紫外線を当ててみました。

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泳動前に加熱したサンプルは光らないのに、加熱しないサンプルは蛍光を発しています・・・・どうして?
全員のサンプルで、緑色の蛍光を確認することができました。
どのような条件で培養すると、GFP遺伝子が発現するのか?
高校生には難しい内容でしたが、しっかりと先生の話を聞き勉強していました。

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この実験講座を通して、実際に目で見て、試してみることで、実験の楽しさを学んでもらえたと思います。今日一日で基本的な実験操作をしっかりとマスターしました。
応用生物学部では、高校生を対象とした実験講座を随時実施しております。ご興味ある方は、是非ご相談ください。

 

岸 千紘

体質を遺伝子レベルで調べる

医薬品コースの加藤です。先日、3年生の学生実験で、お酒に強い体質か弱い体質かを遺伝子レベルで調べる実験を行いました。下は当日の写真です。

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実験内容を簡単に説明します。ヒトゲノムの塩基配列にはわずかな個人差があり、この個人差を遺伝子多型(高校生物の教科書では遺伝的多型と表記されている場合あり)といいます。遺伝子多型はいくつかの種類に分けられますが、ゲノム上に最も多く存在する遺伝子多型は、一塩基多型(SNP)という一塩基単位の個人差です。SNPを調べることで、個人の体質(将来的にある病気にかかる可能性など)を予測することができます。最近ではDeNAなどの企業がSNP解析で体質を調べるサービスを有料で行っています。

 

前置きが長くなりましたが、この学生実験ではアルコール代謝に関わるアルデヒド脱水素酵素2ALDH2)の遺伝子のSNPを調べます。3年生はまず綿棒で自分の口の内側をこすって口腔細胞を採取し、そこから自分のゲノムDNAを抽出します。つぎに、アレル特異的PCRPCRはポリメラーゼ連鎖反応のことで、増やしたい遺伝子断片だけを大量にコピーする技術。1993年ノーベル化学賞受賞)という実験方法で、SNPを調べます。アレル特異的PCRの後、下のような電気泳動で各自のALDH2遺伝子のSNPを調べます。

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ALDH2遺伝子の487番目のコドンの一塩基目がGであればそのALDH2遺伝子は野生型、Aであれば変異型です。しかし、この実験ではあくまでも遺伝子型がわかるだけで、本当にお酒に強いかどうか(つまり表現型)と必ず一致するわけではありません。実験終了後の金曜日の夜には、それを確認するために(?)実験打ち上げ飲み会を開催する3年生もいるようです・・。

 

最先端の医療用医薬品の中には、病気に関連するタンパク質のはたらきをピンポイントに抑えるものが多くあります。そして、それらの医薬品がよく効く患者さんと、全く効かない患者さんが存在し、その違いが患者さんの遺伝子多型によるものだと分かってきました。今後の新薬開発には、患者さんの遺伝子多型の解析が不可欠になっていくでしょう。

加藤 輝