東京工科大学 応用生物の広場東京工科大学

日記・コラム・つぶやき

ネアンデルタール人とホモサピエンス

2021/09/02 | 固定リンク 投稿者: 応用生物学部スタッフ

(個人的な意見が多く混ざっています)


ネアンデルタール人とホモサピエンスが北半球で共存した時間は今から7万年前から4万年前になると思われる。これはホモサピエンスが7万年前にアフリカ大陸を出て、アラビア半島に到達したとき(7万年前)にはじまり、氷河期が最も強く進行した時期(4万年前)と一致する。この時期は地球の寒冷化が強く進行した時期であり、彼らは過酷な食料不足に見舞われたと想像できる。この食料不足においても生き残る可能性が高かったのは、ケトン体に傾斜した代謝系を持つホモサピエンスであったに違いない。なぜなら絶食したとき、ブドウ糖のもとになるグリコーゲンは半日で貯蔵が尽きるのに対し、脂肪から生産されるケトン体では最低二カ月くらい生存を維持できるからである。ホモサピエンスが地球の寒冷化に合わせて代謝系を長寿型(ケトン体に傾斜したハイブリッド)に進化させたと考えられる。ホモサピエンスは20万年前にアフリカ東部に現れて7万年前にアラビア半島に進出するまで殆ど飢餓の状態を当たり前としてそれに適応した生理的な機構を身に付けたのである。この飢餓の状態で生き残る確率を最大化するための手段がケトン体であり、ブドウ糖とケトン体のハイブリッドで身体を駆動させていたはずだが、現代人よりもはるかにケトン体に傾斜していたに違いないとみている。

ホモサピエンスとネアンデルタール人の体格を比較すればすぐにわかることは、前者は持久力、後者は瞬発力に力点をおいた構造になっていることだろう。ヒトの骨格筋には赤筋と白筋の2種類があり、持久力を得意とする赤筋はミトコンドリアが多く、瞬発力を得意とする白筋はミトコンドリアが少ないとされる。ホモサピエンスは赤筋が多く、ネアンデルタール人は白筋が多かったと推察できる。この二種類の骨格筋は代謝様式も異なることが知られていて、赤筋はミトコンドリアで酸素の存在下で、ピルビン酸やケトン体を使って効率よくエネルギーを生み出せるので、持久力を発揮できる。一方白筋は解糖系でブドウ糖を使ってエネルギーを生み出すため、効率は低いが瞬発力を発揮できる。すなわちネアンデルタール人の方がエネルギー需要量が大きいとともに、これを賄うエネルギーは解糖に依存し、ぶどう糖がメインなエネルギー基質であると予想できる。さらに筋肉量の差から、ネアンデルタール人のエネルギー需要量はホモサピエンスよりも20%程度高かったかと予想されているから、ネアンデルタール人はより多くのエネルギーが必要なのに、エネルギー効率のあまり良くないぶどう糖を使っていたことになる。この差が両者の飢餓状態での生存に決定的な役割を果たしたとも推察できる。このようにホモサピエンスがネアンデルタール人よりもケトン体を効率的に作り出し、効率的に使えていたとしたら、ホモサピエンスは飢餓状態では生存に有利であっただろう。この飢餓状態の中でさらに長く生き残れる可能性のある体制獲得したホモサピエンスが生存競争に有利であったということになる。

ヒトは700万年前に出現したときから、「ブドウ糖とケトン体のハイブリッド」で駆動することが基本になっているが、それぞれのヒトの種類によってどちらに傾斜しているかは変わることになる。構造から、ホモサピエンスがケトン体、ネアンデルタール人はブドウ糖によるエネルギー生産に力点があったことがわかる。この2種類のヒトの運命を分けたものは、この代謝系であった可能性は高いと思う。

まとめながら考察を続ける。人類の祖先は、約700万年前に出現したアフリカの疎林帯に直立2足歩行する類人猿として現れた。人類は殆ど恒常的に飢餓に見舞われたに違いない。ホモサピエンスは度重なる食料不足に見舞われ、飢餓に耐えるようにカラダの機構全てを作り替えた。特に炭水化物に大きく依存するシステムは大変に危険であり、ブドウ糖とケトン体のハイブリッドをより生存の確率の高いシステムとして選択したに違いない。何しろ疎林帯で得られる食材(動物の肉や果実や木の実など)は糖質よりもタンパク質や脂肪のほうが多いのである。

一般に脳は他の組織と比べてエネルギーの需要はとびぬけて大きい。2%の重量で25%のエネルギーを消費している。すなわち燃費効率の悪い脳を正常に機能させるために、身体の構造を進化させたのではないかとさえ思われるのだ。このような脳の大型化が始まるのは、約250万年前にアフリカ東部に出現したホモエレクタスと言われている。それまでの人類(例えばアウストラロピテクス)は600g程度の脳しかなかったが、ホモエレクタスは1100g程度の脳になり、急速に脳を巨大化させたのだ。それまでの人類は木の実なとの採集が主であったのに対して、ホモエレクタスは初めて火を使い、料理を始めた人類だといわれているが、肉を料理して食べることが多くなったのではと推察され、この時にケトン体産生へのシステムの傾斜が強まったのではないか、すなわち恒常的にケトン体が高いシステムに移行したのではないか。これが脳へのエネルギー供給を可能にし、飢餓状態での耐性を人に与えたのではないか。つい最近まで脳のエネルギー基質はもっぱらブドウ糖であるといわれてきた。しかしケトン体があればこそ、脳は正常に機能できると私は確信する。人類が脳を巨大化させたのは、ホモエレクタスが肉を料理して食べることによってケトン体の脳への供給があったからこそ可能だったと思う。またホモエレクタスからホモサピエンスまでほとんどの期間、人類は飢餓の状態にあったといってよく、この状態では脳の消費されるエネルギーのかなりの部分(数mM程度のケトン体の濃度だとすると半分程度)はケトン体から供給されていたと考えられる。ホモサピエンスはこの飢餓に耐えるための体制を基本としているように見え、彼らの子孫である私たちが、脳だけはブドウ糖で動くと考えるのはむしろ不合理である。たとえサブとしてでも、脳でもケトン体をふだんから利用していると考えるのが自然である。

東京工科大学 応用生物学部 佐藤拓巳

つぶやき、始めてみました。

2021/08/06 | 固定リンク 投稿者: 応用生物学部スタッフ

今やSNSは情報発信のツールとして欠かせないものになり、私たちの生活にすっかり定着しています。コロナ禍においては、その恩恵がさらに増したのではないでしょうか。大学においても、研究成果の発信や学生募集などの広報活動の一環として、SNSの活用に力を入れています。

応用生物学部では、学部の公式ウェブサイトの他にブログ、Facebook、Twitterを日々更新しています。学部の紹介が中心のウェブサイトに対して、SNSでは研究室の日常の出来事から研究成果までを、少しライトなタッチで親しみやすく情報発信しています。応用生物学部の「今」がわかりますので、学生の皆さんに留まらず、応用生物学部に関心を寄せていただいている高校生の皆さんにも訪れていただきたいものです。

当研究室(食品・化粧品専攻 生化学(野嶽)研究室)でも研究室のウェブサイトを運営していますが、「研究室の日常」という項目を設けて、ここにFacebookをリンクさせています。以前から研究室内の出来事をやわらかい文章にして書き留めています。そして今回、応用生物学部の取り組みを参考にして、当研究室でもTwitterを開始しました! いざ始めてみると、意外と楽しいことに気づきまして、研究室の雰囲気作りにも役立っています。

Nodake

閲覧統計データによると、本当に多くの方から当研究室のつぶやきに反応していただいていることがわかります。これは想像以上でした。実際に、研究室のメンバー以外の方から、「Twitter見ましたよ~!」「楽しそうな研究室ですね!」と声をかけていただくことが多く、研究室の雰囲気を伝えるためのツールとして、コースや研究室の選択の際にも参考にしていただいています。高校生の皆さんの目にも留まるように、今後もウェブサイトやSNSを利用して積極的に情報発信していきたいと思います。フォローよろしくね!

野嶽勇一

この時期の研究室は・・・

2021/08/04 | 固定リンク 投稿者: 応用生物学部スタッフ

熱中症警戒アラートが出るほど暑い今日このごろ・・・皆様いかがお過ごしでしょうか?すでに夏バテ気味で栄養ドリンクが欠かせない,生命科学コースで助教をしている永瀬です.


小・中・高校生はこの時期は夏休みも中盤といったところでしょうか?夏休みの宿題・・・進んでますか?(笑) 大学にも一応,夏季一斉休暇というのが1週間程度あります!ただ,1年生から3年生までは,8月上旬の定期試験さえ終わってしまえば,9月後半の後期の授業が始まるまでお休みのようなもので,しかも宿題もないので,小・中・高校生の皆さんからすると羨ましいかもしれないですね.


でもそうは言ってられないのが,研究室に所属しいる,4年生や大学院生・・・.4年生は8月24日ごろに,大学院2年生は8月20日ごろに,卒業するための中間審査会(研究の発表会)があります.なので,夏季一斉休暇に1週間程度お休みがあるといっても,うかうか休んでられません.そんなわけで,この時期はどこの研究室も,学生さんが実験していたり,発表用のスライドや原稿を作ったりしていて,いつも以上に賑(にぎ)わいます!


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横山・永瀬研の4年生.発表用スライドの作成を頑張ってます!


私が学生のころも,今の学生さんと同じように発表前はスライドの作成で忙しくしてました!だんだん疲れてくると,みんなで学内のコンビニに行くんですが,ちょうど夏の時期なので,とても暑い.そこまでコンビニは遠くないんですが,アイスを買って帰っても,帰る間にちょっと溶けちゃうんですよね. 


そんなとき,目に入るのは研究室にあった-80 ℃の冷凍庫(ちなみに家庭用の冷凍庫は-18℃)・・・皆さんもうお分かりですね?(笑) あとでばれて,先生に怒られたのは言うまでもなく・・・(冬はミカンがおすすめ←)そんな学生時代の夏の思い出を思い出す,今日この頃でした.


応用生化学研究室(横山・永瀬研) 永瀬

キャンパスの野生動物

2021/07/12 | 固定リンク 投稿者: 応用生物学部スタッフ

東京工科大学のまわりには自然がたくさんあります。キャンパスは常に整備されていて大変綺麗ですが、キャンパスを出で少し歩くと結構な林があったりします。最近はあまり見かけないのですが、少し前には夕方になるとキャンパス内で野生のウサギを見ることができました。

きっと、キャンパスにはもっと多くの野生動物がいるはずだと思い、学生と一緒にキャンパス内の野生動物を調査したことがあります。赤外線に反応して自動的に撮影してくれるカメラを何台か設置して野生動物の姿を撮影しました。その結果、ウサギ、タヌキ、アナグマ、アライグマ、ハクビシンなどがいることがわかりました。さすがに、イノシシ、シカ、クマなどの大型は見られませんでしたが、結構な種類の野生動物が見られたのは驚きでした。

撮影してみてわかったのですが、撮影は意外と難しいです。やたらと林にカメラを仕掛けてもなかなか写りません。しかし、ナイスな撮影スポットを見つけると頻繁に写ります。このことから、彼らはある程度決まった場所を移動していると想像できます。また、場所によって野生動物の現れる頻度も違いました。ここのカメラにはアナグマがよく写るが、別のカメラにはタヌキばっかり、みたいな感じです。適度に棲み分けしているのではないかと想像できます。

ここに書いた動物は特段珍しくもなく、動物園にいたらスルーしてしまうかもしれません。しかし、こうやって彼らと向き合ってみると発見することがたくさんあります。

1枚目の写真は外来種のアライグマで、しっぽの縞模様に特徴があります。多くは写りませんでしたが、きっとこの辺りに住み着いているのでしょう。どこからかやってきたのか気になります。2枚目は、???です。耳と鼻が大きい猫?スリムな犬?心当たりのあるひとは応用生物秋元まで。

応用生物学部 秋元
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応用生物学部のTwitterを見に来てください

2021/06/07 | 固定リンク 投稿者: 応用生物学部スタッフ

応用生物学部ではTwitterを利用して研究室や授業の様子、ときには、先生達の日常などを紹介しています。オープンキャンパスだけでは感じ取れない応用生物学部の雰囲気を感じ取れると思います。ぜひ見に来てください。

https://twitter.com/bs_tut

 6月13日にバーチャルオープンキャンパスが開催されます。応用生物学部では、模擬授業や応用生物学部の広場がライブ配信されます。応用生物学部の広場は5人に先生による、研究や趣味などを熱く語る対話形式の座談会です。大学での研究内容や先生たちの人柄を知ることのできる絶好の機会だと思いますので、見てください。また、オンデマンドの研究室公開「研究室を覗いてみよう!」もあります。大学の研究室は、大学の先生の個性が溢れる場所です。ぜひ覗いてください。写真は、左から土井先生(模擬講義担当)、吉田(亘)先生(応用生物学部の広場司会)、中西先生(応用生物学部の広場関西風トーク担当)です。

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はじめまして

2021/05/17 | 固定リンク 投稿者: 応用生物学部スタッフ

はじめまして。4月から応用生物学部に赴任しております松井 毅です。前任地は、理化学研究所横浜事業所です。博士課程修了後からの約20年間、皮膚科学分野の基礎研究を、民間企業/大学/国立の研究所などで研究しきました。当初は、皮膚はどのようにでき るのだろうという疑問から研究は始まりました。次第に皮膚は動物たちが陸上に進出した過程で獲得されたことに興味がでてきました。(脊椎動物の陸上進出)皮膚は、動物たちが外界と適応するために様々な進化をしてきたことも興味深いです。皮膚組織の造形は美しく、機能と形態の美しさをあわせもつ不可思議な魅力もあります。前任地の理化学研究所では、皮膚最表面の死細胞からできている角層バリアがどのように作られるのかを詳しく解析して、新しい細胞死概念である「コルネオトーシス」を提唱しました。(詳しくは研究室HPをご覧ください)

ところで、話は変わりますが、私は数年前から近所の空き地を借りて試行錯誤しながら畑をしています。大先輩の方々の御指導のおかげで、少しずつ野菜の種類も増え、昨年などは食べきれないぐらい収穫ができ、研究室にもお裾分けできるくらいになりました。毎年、この初夏の時期から、ものすごい勢いで成長する野菜(と雑草)を見ていると、土が持つ巨大なエネルギーに圧倒されます。土が地球を覆う皮膚と考えてみると、私達の体を覆っている皮膚も、まだ未解明のエネルギーや機能を持っているかもしれません。また、土が持つエネルギーが蓄えられた新鮮な野菜を食べ、そのミネラルなどが最大の臓器である皮膚に行き渡り、最外層の死細胞の材料となって角層バリアを作ることを考えると、地球との繋がりの中で生かされているとも感じます。

そんなことを色々考えるのは面白いです。これから皮膚について、学生の皆さんと深く考えていくのを、楽しみにしています。

写真は、今が収穫時期の、そら豆です。

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着任のご挨拶

2021/04/27 | 固定リンク 投稿者: 応用生物学部スタッフ

みなさん初めまして!
この4月から応用微生物学研究室に助手として着任いたしました中村知世です。今回着任のご挨拶ということでこれまでの研究について簡単に紹介しようと思います。

微生物が物質を生産し、分泌する仕組みは多く存在しておりますが、私はその一つであるメンブランベシクル(MV)について研究を行っています。MVって何だろう、初めて聞いたという人も多いかと思うので簡単に説明します。MVとは日本語でいうところの膜小胞であり、数10から数100 nmの物質です。下の写真は虫歯菌とそのMVを撮影した画像ですが、非常に小さいこと分かります。MVは微生物の生体膜由来であるとされており、MVの中にはDNAやRNA、タンパク質、ペプチドなどが含まれていることから物質の運び屋とされています。微生物間では遺伝子や情報のやり取りを行っているとされており、ヒトなどの動物、植物との間では、微生物の感染を促進する作用もある一方で免疫の誘導も報告されています。海外ではMVを使用したワクチンが認証されていたりもします、すごいですね。

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私はこれまで虫歯菌のMVについて研究を行っていました。虫歯菌のMVには、歯面に付着するための酵素が多く含まれており、その種類や量、またMVが歯垢の原因になるのかについて検討を行ってきました。長くなりそうなので、実際の結果については研究室で!笑

ところで虫歯菌は乳酸菌の1種なのですが、みなさんご存知でしょうか?これからは虫歯菌ではなく、食品で使用されている乳酸菌などの微生物やその食品についてのMVに関する研究を行っていく予定です。これからよろしくお願いいたします。

応用微生物学研究室 中村知世

研究室の柱となる人材

2021/03/16 | 固定リンク 投稿者: 応用生物学部スタッフ

先端化粧品コースの岩渕です。私の研究室では毛髪や頭皮の研究を中心に、化粧印象の研究などを行っています。時が経つのは速いもので、研究室ができて6年余の時間が経ちます。今春卒業する学生が6期生です。毎年多くの学生が4年生で卒業するため、研究室の在籍期間は1年の学生が大半ですが、毎年1~2名は大学院修士課程に進学し、その学生は研究室に計3年間在籍することになります。3年も在籍してもらえると、多くの実験技術を身に付けることができるので、研究室にとってとても大きな戦力になります。文字通り、修士課程の学生が研究室の柱となっています。本来なら博士課程まで進んでさらに研究力をつけて、研究室の柱になってもらえると、嬉しいのですが、現状ではなかなかそのような学生はいないようです。

このような中、研究室の第2期生で実質的に博士課程の学生に近い存在の方がいました。本研究室で修士課程を修了した後、本学部の実験助手として採用されたのです。時間の多くは学生実験のために使っていますが、空いた時間や、学生実験の無い時期は大学院生のように実験をしてデータを出してくれました。研究室の後輩の指導も行ってくれるので、さながら博士課程の大学院生のような存在でした。まさに研究室の柱でした。この方は、良い就職口があったのでそちらに移籍して行きましたが、研究室の柱という存在の重要性を私に再認識させてくれました。写真は最終日に院生以上のメンバーで撮ったものです。

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現在は、この方に代わる新たな研究室の柱となる人材を開拓したいと思っています。高校生、学部生、あるいは学外の方でも、我こそはという方、ぜひ当研究室においで下さい。一緒に研究をしてみましょう。

シイタケ栽培

2021/02/10 | 固定リンク 投稿者: 応用生物学部スタッフ

皆様こんにちは。生命科学コースの吉田亘です。新型コロナウイルスの影響で、自宅で過ごす時間が増え、自宅で楽しめることを始めた方も多いかと思います。我が家もミニトマトやブルーベリーなどの栽培を始めましたが、その中でも一番面白かったのはシイタケ栽培です!5日間でこんなにも多くのシイタケが生えてきて、最初はビックリしました。しかも新鮮なのですごく美味しかったです。

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シイタケなどのキノコは菌類に分類されますが、キノコは菌類なのになぜこのような構造体を作るのか疑問ですよね。ということで菌の専門家である西野先生に聞いてみました!

吉田「西野先生、キノコって菌類ですよね?菌なのになんであんな構造体を作るんですか?」

西野先生「キノコは菌類の子実体(しじつたい)とよばれる部分です。菌類の中で目に見えるほど大きい子実体のことを人間は“キノコ”とよびます。子実体はかさの下に胞子とよばれる「植物の種子」のようなものをつくっています。つまり、キノコは自らの子孫繁栄のために作っているものであって、人間に食べられるために作っているわけではありません。よって、菌類にとって生存の危機があるときに作られます。」

吉田「へー。じゃあ栄養満点だとキノコは子実体をつくらないんですか?」

西野先生「はい、スーパーでキノコ(エリンギなど)を買ってきて、それをカッターで小さく切ったものを菌類にとって御機嫌な環境、つまり、栄養成分をいっぱい含む寒天培地上におき、生育に適した温度と湿度を保つとスクスクと成長します。しかし、カビの状態(糸状)に増えるだけで、私が食材として期待するもの(子実体)は作りません。シャーレの中にモコモコとした白いものが埋め尽くされるだけです。顕微鏡で見ても、しっかりと糸状になっていました。まさにカビ。残念。さすがに食べませんでした。」

吉田「これは環境によって遺伝子発現が変わっているってことですね!DNAのメチル化によって制御されているのでしょうか?」

西野先生「はい、厳しい環境下に置かれることで、菌類のやる気スイッチがONになります(これで遺伝子発現パターンが変わります)。スイッチがONになると、彼らは「いっちょう、キノコでも作ってみるか!」となるようです。そうなれば、こちらの思うツボ。。。このパターン変化にDNAのメチル化が影響するかはわかりませんが、関係するかもしれません。」

吉田「がんの簡便診断法としてメチル化DNAを測定する方法を開発しているのですが、それを使ってキノコの診断法(!?)を開発しても面白いかもしれませんね!」

西野先生「はい、DNAのメチル化レベルでキノコの子実体の形成しやすさ、大きさ、風味などが判別できれば、素晴らしい発見となると思います。これができれば、マツタケの栽培がラクになるし、トリュフも食べ放題、吉田先生と私の生活もラクになるでしょう!!!」

という、会話を最近しました。本学部の良い所の1つは教員間の仲が良いところだと思います(多分)。異分野の研究者がコラボレーションすると面白い結果が得られることが多いので、キノコ診断法を研究しても面白いかもしれません。実用化できるかはわかりませんが、大学では夢のある研究をやりたいですよね。

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末は博士か大臣か

2021/01/20 | 固定リンク 投稿者: 応用生物学部スタッフ

生命科学コースの吉田亘です。昨日、本研究室の博士課程3年の馬場勇次君の博士論文公聴会が開催されました!高校生の皆様には馴染みが無いかもしれませんが、大学院は2年間の修士課程が修了した後に、さらに3年間の博士課程があります。つまり、大学院の博士課程まで進学すると、多くの場合、9年間(大学4年間+大学院5年間)も大学・大学院で学ぶことができます。長すぎってツッコミを入れた方もいるでしょう。私も博士課程の学生だった時に、親戚の高校生に「まだ大学生なの!?」と突っ込まれました(笑)。

学部4年生になると各研究室に配属されて、そこから研究活動が始まります。研究活動では答えの無い問いに対して、文献を調査し、仮説を立て、検証する(実験する)、というプロセスを繰り返し行います。社会に出れば、答えの無い問いに対して答えを見つけていく必要があります。そのため、研究を通じた教育活動は非常に重要だ!と、多分どこかの書籍やHPに記載があるので、そのあたりの話は譲りますが、とにかく研究は楽しいです!この世で誰も考えていないことを考え、それが証明された時はめちゃくちゃテンションがあがります!また、それを英語の論文として全世界に発信すれば、その成果は一生(死んだあとも)残ります!

ちょっと話は戻りますが、博士課程に進学し、博士学位審査に合格すると、「博士号」が授与されます。要は、名刺に「博士」とつけることができます。私も吉田亘「博士」です。海外に行けば「Dr.」 Yoshidaです(ちょっとかっこいい!?)。おもいっきり研究をしてみたいという方は大学院に進学して、新しい発見をして、「博士号」をゲットすることをお勧めします!

吉田亘

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  • 「コエンザイムQ10の基礎と応用」の出版 2015.06.24
  • 一次情報が気になる人になりましょう 2015.04.28
  • 大学生の食生活 2015.04.27
  • 2014年度卒業生の就職 2015.04.13
  • キャンパスの四季 2015.03.25
  • 静かな図書館 2015.03.16
  • 海外での広報活動 2015.02.09
  • 卒業論文 2015.02.06
  • 応用生物っぽくない技能 2014.12.05
  • ツガルさんが逝ってから半年が過ぎました 2014.11.24
  • 3年生歓迎バーベキューが開催された 2014.09.29
  • 研究室の夏模様 2014.08.28
  • 学会デビュー2014 2014.08.27
  • 新任教員からのメッセージ(松井 徹 教授) 2014.07.03
  • 掃除はやっぱり大切です! 2014.06.30
  • 学生実験 2014.06.04
  • 大きな虹 2014.05.21
  • よく学び,よく遊べ! 2014.05.12
  • 微生物の名前 2014.03.03
  • 企業訪問 2014.01.09
  • 自分のことのように緊張する 2013.12.18
  • イチョウ並木が美しい季節になりました 2013.11.19
  • 太陽と上手につきあいましょう 2013.10.07
  • 夏の思い出 2013.09.24
  • 田舎のネズミと都会のネズミ 2013.09.09
  • 夏休みの自由研究 2013.08.28
  • 共同研究の醍醐味 2013.08.27
  • 足を骨折して 2013.07.08
  • 大学の講義は難しいか 2013.06.23
  • 田植えの時期に思うこと 2013.05.27
  • GWと五月病 2013.05.02
  • 発酵について 2013.05.01
  • サクラサク 2013.04.02
  • 重力の本を読んで 2013.03.25
  • 雪山、最高ですね 2013.03.06
  • 応用生物学部とマンガ 2013.02.27
  • 理系の大学生の特権 2013.01.22
  • 工科大のマングローブに種子が! 2013.01.11
  • 借景 2012.12.01
  • 携帯もパソコンもない時代のラブストーリー 2012.11.01
  • 最近、つらつら考えること 2012.10.25
  • 白い秋の空とアンドロメダ星雲 2012.10.24
  • 奇跡の一本松 2012.09.25
  • 日中化粧品国際交流 2012.09.12
  • オープンキャンパスの隠れた機能 2012.09.11
  • 共同研究の楽しみ 2012.08.06
  • 瑞牆山登山日記 2012.06.25
  • 最近の話題(2012年6月) 2012.06.15
  • 受験勉強は大学での学びに役立ちます 2012.06.15
  • Biotech2012 2012.05.16
  • メメント・モリ 2012.05.10
  • 新学期 2012.04.25
  • 卒業旅行 2012.03.14
  • 八王子キャンパスナウ(銀世界) 2012.02.29
  • 霊験あらたか 2012.01.12
  • 学長賞発表会の練習 2011.11.15
  • バンコクの学会へ行ってきました 2011.10.07
  • 高尾山で乾杯 2011.09.28
  • 風が吹くと・・・イテッ!その2 2011.09.27
  • 真夏の甲子園 2011.08.31
  • 大学4年生の夏 2011.08.01
  • 天然原子炉 2011.07.05
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  • 健康長寿ラクダ 2011.02.28
  • 卒業研究審査会の周辺 2011.02.15
  • 映画「レッドクリフ」を観て 2011.02.08
  • 片柳研究所棟の定点観測 2011.02.07
  • 興味対象と適性を知る方法 2011.01.28
  • 卒研の時期の帰り道 2010.12.21
  • 今年の学会デビュー 2010.12.21
  • 教え子の結婚式に出席して 2010.12.20
  • 世界遺産シュンドルボンのマングローブ林 2010.12.17
  • 研究生活で最近思うこと 2010.12.14
  • 八王子の花 2010.12.07
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  • 鯨・南の魚・鶴・鳳凰・兎 ~晩秋の夜の動物ウオッチング~ 2010.11.26
  • 博物館めぐり 2010.11.08
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  • ~マイケル・サンデル先生と「日本での授業」~ 2010.10.04
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  • Not 虫 but カワセミ!&  暑さにめげず実験 2010.07.30
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