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2021年2月

シイタケ栽培

2021/02/10 | 固定リンク

皆様こんにちは。生命科学コースの吉田亘です。新型コロナウイルスの影響で、自宅で過ごす時間が増え、自宅で楽しめることを始めた方も多いかと思います。我が家もミニトマトやブルーベリーなどの栽培を始めましたが、その中でも一番面白かったのはシイタケ栽培です!5日間でこんなにも多くのシイタケが生えてきて、最初はビックリしました。しかも新鮮なのですごく美味しかったです。

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シイタケなどのキノコは菌類に分類されますが、キノコは菌類なのになぜこのような構造体を作るのか疑問ですよね。ということで菌の専門家である西野先生に聞いてみました!

吉田「西野先生、キノコって菌類ですよね?菌なのになんであんな構造体を作るんですか?」

西野先生「キノコは菌類の子実体(しじつたい)とよばれる部分です。菌類の中で目に見えるほど大きい子実体のことを人間は“キノコ”とよびます。子実体はかさの下に胞子とよばれる「植物の種子」のようなものをつくっています。つまり、キノコは自らの子孫繁栄のために作っているものであって、人間に食べられるために作っているわけではありません。よって、菌類にとって生存の危機があるときに作られます。」

吉田「へー。じゃあ栄養満点だとキノコは子実体をつくらないんですか?」

西野先生「はい、スーパーでキノコ(エリンギなど)を買ってきて、それをカッターで小さく切ったものを菌類にとって御機嫌な環境、つまり、栄養成分をいっぱい含む寒天培地上におき、生育に適した温度と湿度を保つとスクスクと成長します。しかし、カビの状態(糸状)に増えるだけで、私が食材として期待するもの(子実体)は作りません。シャーレの中にモコモコとした白いものが埋め尽くされるだけです。顕微鏡で見ても、しっかりと糸状になっていました。まさにカビ。残念。さすがに食べませんでした。」

吉田「これは環境によって遺伝子発現が変わっているってことですね!DNAのメチル化によって制御されているのでしょうか?」

西野先生「はい、厳しい環境下に置かれることで、菌類のやる気スイッチがONになります(これで遺伝子発現パターンが変わります)。スイッチがONになると、彼らは「いっちょう、キノコでも作ってみるか!」となるようです。そうなれば、こちらの思うツボ。。。このパターン変化にDNAのメチル化が影響するかはわかりませんが、関係するかもしれません。」

吉田「がんの簡便診断法としてメチル化DNAを測定する方法を開発しているのですが、それを使ってキノコの診断法(!?)を開発しても面白いかもしれませんね!」

西野先生「はい、DNAのメチル化レベルでキノコの子実体の形成しやすさ、大きさ、風味などが判別できれば、素晴らしい発見となると思います。これができれば、マツタケの栽培がラクになるし、トリュフも食べ放題、吉田先生と私の生活もラクになるでしょう!!!」

という、会話を最近しました。本学部の良い所の1つは教員間の仲が良いところだと思います(多分)。異分野の研究者がコラボレーションすると面白い結果が得られることが多いので、キノコ診断法を研究しても面白いかもしれません。実用化できるかはわかりませんが、大学では夢のある研究をやりたいですよね。

吉田featuring西野

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