食品の保存について
| 固定リンク 投稿者: 応用生物学部スタッフ
先日、新型コロナウィルスの影響で、カップ麺や冷凍食品といった保存食が買いだめの対象になったというニュースがありました。保存食はこういった時に買い込むのではなく、常日頃から準備しておくようにする必要があるでしょう。
このような背景から今日は保存食についてお話ししたいと思います。食品の保存方法の1つとして冷凍保存が挙げられます。冷凍保存は数ある食品の加工方法の中で最も加工前の状態に戻すことができる方法です。また、私は研究テーマとして、凍結解凍を取り扱っていることもあって、「冷凍こそ究極の食品保存法だ!」と声を大にして言いたいところです。しかし、「保存」という部分に着目すると、究極の食品の保存法は缶詰ではないかと考えます。ここで、冷凍と缶詰を比較してみましょう。
上の表を見ると、冷凍保存後に生の状態に戻すことができるという点においては冷凍に軍配が上がりますが、停電になると冷凍食品は使い物になりませんし、解凍しなければアイスクリーム以外は食べることができません。その点、缶詰は低温で保存する必要もないですし、基本的に缶を開けてそのまま食べることができることから、保存という観点では缶詰に分がありそうです。
なお、滅多にあることではありませんが、保存能力の高い缶詰であっても、缶蓋が膨らんだ缶詰は、殺菌不足により残存した微生物が保存中に増殖していることを示しているため、食べてはいけません。また、缶が錆びた場合も、腐食した部分から微生物が混入し、中身が汚染されている可能性があるため、消費は控えましょう。逆に言うと、缶に異常がなければ基本は消費可能ということになります。以前、私の出身大学で、数十年前に学生の実習で製造されたマグロのオイル漬け缶を食べた教授が「味が馴染んでいて美味い」と言っていました。恐るべし缶詰…。
実際に、私も学生時代に賞味期限間近のツナ缶を購入して数年置いて、味が馴染んで美味しいマグロ缶を食べようとしました。しかし、当時付き合っていた彼女に、賞味期限が何年も過ぎてたからという理由で、勝手にそのツナ缶を捨てられてしまいました。もちろん、喧嘩になったのは言うまでもありません…。
これを読んでいる皆さん、賞味期限が過ぎた缶詰は勝手に捨てないようにしましょう!
高機能性食品研究室 阿部周司