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セロトニンは脳に幸福と安寧を与える

2019/12/17 | 固定リンク 投稿者: 応用生物学部スタッフ

セロトニンは小さな小さな分子で目には見えないものですが、科学者の間では幸せ物質と呼ばれています。スターウオーズに出てくる「目には見えないが宇宙隅々に満ち満ちているフォース」を御存じでしょうか?そのようなものだといえるでしょう。フォースは宇宙に正義と秩序を与えるものですが、セロトニンはヒトに幸福と安寧を与えるものなのです。

私たちもセロトニンで脳を満たし、ストレスの支配から脳を開放し、自身の未来を切り開く必要があります。脳をフォースで満たす最大のカギは「食」にあります。ところでセロトニンを合成する酵素の遺伝子をノックアウトして、脳でセロトニンを作らせないようにすると、二つのことが起こることが知られています。

1. 骨密度が減少する。
2. 食欲が減少する。

逆に脳内のセロトニンを満たせば二つのことが起こると予想できます。

1. 骨密度が増加する。
2. 食欲が増加する。

ということです。アンチエイジングを目指すうえでこれは重要な示唆を与えます。すなわち「幸せな人生」と「好ましい食生活」と「運動能力」はセロトニンという分子で強く連環し、あたかもひとつの事象であるかのように存在しているということです。だから私は脳におけるセロトニンを、宇宙におけるフォースに例えたのです。芸能界には「美魔女」と呼ばれる70歳になっても活動的でかわいらしい女性がいるものですが、脳をセロトニンで満たしていて(すなわち自身が幸福であると自覚しているために)、上記のふたつの生理的な事象が起こっているからではないかと予想します。ヒトが健康に長寿であるためにはセロトニンの果たす役割は限りなく大きいと考えています。腸(腸内細菌)と脳(精神活動)は密接な関係(脳腸相関)があることがわかっています。すなわち腸内細菌叢が良いと、幸せな人生を送るチャンスが多く、腸内細菌叢が悪いと、幸せな人生を送るチャンスが減る。逆に自分が幸せであると感じている人は腸内細菌叢も良質で、そうではない人は腸内細菌叢の質が悪いという関係があると思われます。セロトニンはトリプトファンから合成が始まりますが、トリプトファンは多くは動物性タンパク質から酵素で分解されて生成され、そのあとトリプトファンは腸内細菌で水酸化され、水酸化トリプトファンに変化します。このようにして水酸化トリプトファンの90%程度が腸内細菌で生成されているのですから、殆ど腸内細菌に依存しているっと言っていいでしょう。水酸化トリプトファンは腸管上皮から吸収されて血流に乗って、脳血液関門へと送られます。何とその狭き門を自由に通過できるのです。そして脳に到達することができます。さらに脳内でセロトニンに変化され、幸せ物質として働きだすという仕組みです。さらにセロトニンは神経細胞の中でメラトニンに変化させられ、睡眠物質として機能するのです。セロトニンは日中に高く、またメラトニンは夜に高いことが知られています。このふたつのホルモンによって昼は行動的であり、夜は休息というリズムが成り立っています。セロトニン(幸せ物質)とメラトニン(睡眠物質)の日内リズムを守ることが幸せに生きる基本と言えそうです。

佐藤拓己

Ts1

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