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2018年9月

学会発表と名物

生命科学・環境コース 植物工学研究室の多田です。日本植物細胞分子生物学会(8月26日~28日、金沢商工会議所)と日本育種学会(9月22日~23日、岡山大学)に参加して発表してきました。
前者は大学院生の川上君も一緒に参加しました。二人ともソナレシバという耐塩性の強い植物のカリウムトランスポーター(カリウム運搬体)に関する発表をしました。塩ストレス(ナトリウム過剰)条件では、ナトリウムと性質の似ているカリウムの吸収が阻害されるため、カリウムの取り込みをするカリウムトランスポーターの研究は耐塩性の仕組みを調べるうえで重要です。我々が発見したカリウムトランスポーターは、これまでに報告されているものとは異なるユニークな特性を持っており、今後の展開が期待されます。
日本植物細胞分子生物学会では、昨年まで私の研究室にいた来須先生(現・諏訪東京理科大学 准教授)が奨励賞という若手対象の賞を受賞しました。記念に一緒に写真を撮りました(写真1)。

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写真1 会場前で来須先生と

学会では名物や名所がつきもので、金沢ではテニスの錦織選手も大好きな「のどぐろ」やホタルイカ、変わった歯ごたえのもずくなどを楽しみました。有名な兼六園も見学しました。岡山では、鰆(さわら)という魚が有名らしく、刺身で食べるとおいしかったです。モモとブドウは高いので、果汁入りのチーズケーキを研究室のお土産にしました。

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写真2 会場の岡山大学
生命科学・環境コース 多田

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もろみ酢から開発した新規乳酸菌飲料 「美らBio」 の誕生

皆さんは、「産学共同研究」という言葉を聞いたことがありますか? 大学と企業が互いに得意とする技術を提供し合って、協力して研究に取り組みます。各々が単独で研究に挑むよりも、効率よく研究を進めることができます。得られた研究成果は地域経済の活性化に繋がる場合もあることから、大学に対する地域社会からの期待が高まっています。このような背景から、生化学研究室においても産学共同研究を数多く展開してきました。今回のブログでは、これらの産学共同研究の研究成果の一つである「美らBio(チュラビオ)」について紹介したいと思います。

お酒が好きな方の中には、泡盛を飲んだことがある方もいらっしゃると思います。沖縄の代表的な特産品の一つである泡盛は、タイ米を原料とするお酒です。この泡盛の製造工程では、搾った残渣(もろみ粕)が生じます。泡盛の醸造元である(株)石川酒造場(沖縄県西原町)では、泡盛の副産物であるもろみ粕から、世界で初めて「もろみ酢」を製造しました。もろみ酢には黒麹菌のはたらきで作られたクエン酸や必須アミノ酸が豊富に含まれており、健康飲料として親しまれてきた歴史があります。その一方で、もろみ酢の独特の風味を苦手と感じる方がいるという点については、長年の課題とされてきました。そこで(株)石川酒造場と琉球大学農学部では、乳酸菌による発酵技術を利用してもろみ酢の風味改善に挑んできました。研究開始から多くの試行錯誤を経て誕生したのが、まろやかな味わいが特徴の乳酸菌発酵飲料「美らBio」です。

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どんなに良い製品が完成しても、それだけでは販売には至りません。製品を長く販売していくためには製品のコンセプトの決定が大変重要であり、ターゲットとする購買層(男女、年齢、生活スタイル等)、原価、パッケージデザイン、大量生産化、販売網の確保など、検討項目は多岐にわたります。当研究室は(株)石川酒造場からの依頼を受け、美らBioの製品コンセプトを検討するための産学共同研究に参画してきました。

当研究室では、マウスに対して高脂肪食と同時に美らBioを一定期間摂取させ、美らBioの健康機能性を評価しました。その結果、美らBioを摂取させたマウスでは、内臓脂肪の蓄積や血中コレステロール濃度が抑制されていることが明らかとなり、肝機能の改善も確認されました。食品に関するエビデンスの収集はその食品の価値を高めることに直結することから、研究者の立場から今後の美らBioの展開やもろみ酢市場の活性化に期待しています。

最後にもう一つ。9/10に東京ビッグサイトにおいて、「ダイエット&ビューティーフェア2018」が開催されました。今回で17回目となる本フェアは、コスメ・美容機器・サプリメント・インナービューティー等に関する新たなトレンドや商機を生みだすための情報交流の場として、毎年3万人近い来場を集めます。本フェアでは、数多くの優れた美容健康商材の中から「地域の魅力を発揮している最も仕入れたいアイテム」を選出し、「ジャパンメイド・ビューティアワード」として表彰も行っています。今回、栄えある最優秀賞に輝いたのは、我らが「美らBio」だったのです!

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当研究室では、美らBioに限らず、卒業研究の中で産学共同研究に関する研究に取り組んでいただくことがあります。「自分が明らかにした研究成果が将来の製品化に繋がるかもしれない」と考えると、卒業研究に対するモチベーションも上がるのではないでしょうか。高校生の皆さん、在学生の皆さん、当研究室で食品科学(発酵食品)研究やスキンケア研究に取り組んでみませんか?

生化学研究室 野嶽勇一

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