W女王の競演
| 固定リンク 投稿者: 応用生物学部スタッフ
毎年、夏休みには山を登ることにしているが、この夏休みは、北アルプスの燕岳を訪れた。かねてから訪れたかった山だったが、山頂近くにある山小屋の燕山荘にやっと予約をとることができ、登ることを楽しみにしていた。燕岳は、長野県の大町市と安曇野市の境にある山で、常念山脈の北部に位置する。頂稜に花崗岩の小岩塔が並び立つ標高2763mの美しい山容を描くことから、北アルプスの女王と呼ばれる(写真1)。
最寄り駅はJR大糸線の穂高駅で、バスで1時間ほど走った標高約1500mの所にある中房温泉が登山口になる。当日は、すでに多くのグループ登山客が集う中、私と妻はカラマツ林の中を登り始めた。道は整備されているほか、30分から40分間隔でベンチが配置されていて、歩きやすい山である。3時間ほど歩くと合戦小屋と呼ばれる売店に着いた。当日は、下界は35℃を超える猛暑だったが、山も例外でなく、歩く度汗が吹き出ていた。そのせいもあって、売店で名物となっているスイカを注文したが、これまでの中でも最もうまいスイカに思えるものであった。スイカを堪能した後、再び歩き始めた。ダケカンバやナナカマドの林の中、2500m超えるとさすがに息苦しさを覚え、歩みの速度も遅くなったが、頂上近くになってくると一気に視界が広がり、高山植物の群落が目に飛び込んできた。白やピンク色の花々が咲く中、紫色のリンドウやトリカブトといった秋をつげる花が彩を添え、まさにお花畑であった。疲れが一気に吹き飛ぶような爽快な景色であった。高山植物を楽しみながら、燕山荘にたどり着いた。その日はそこで一泊した。燕山荘は、これまで泊まった山小屋の中でも大規模なもので、老若男女問わず、多くの登山客でにぎわっていた。食事もこれまでの山小屋の中では最もおいしいもので、人気があってなかなか予約が取れないのも納得した。
翌朝、山小屋をあとに燕岳に登った。朝起きたときは霧に追われてほとんど視界が得られなかったが、スタート直後には霧も晴れ、樹木の緑と白い花崗岩の岩塔のコントラストの山容が目の前に現れた。岩塔の間、白い砂礫の道を進んでいくと、山の斜面に高山植物の女王とも呼ばれるコマクサの群落を見ることができた(写真2)。ピンク色の可憐な花を咲かせるコマクサは、6月~7月が最盛期だが、十分美しい姿を呈していた。まさに北アルプスの女王と高山植物の女王のW競演である。30分登ると山頂に着いた。360度の視界で、槍ヶ岳や大天井岳などの山々を望むことができた。
帰りはメガネ岩やイルカ岩といった奇岩を眺めながら、登ってきた道を戻った。自然を十分堪能した一泊二日の登山の旅であった。なお、登山口の中房温泉で汗を流したのは言うまでもない。学生の諸君にも、ゲームだけでなく、山にも訪れて、雄大な自然にも是非触れてほしい。
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