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使用後の水はどのようにして綺麗にする?

みなさん、こんにちは。
水環境工学研究室の助教の筒井です。

朝起きてトイレに行ったり、食事の時に洗い物をしたり、夜にお風呂に入ったりと、私たちは日ごろ何の不自由もなく水を使って、使い終わった後の水は流してしまっています。その汚れた水は、そのまま環境中に流してしまうと汚染につながるので、綺麗にした上で河川や海に放流されています。
今回のブログでは水を綺麗にする技術についてお話しをしたいと思います。

日本の多くの地域では、流した水は下水道を通って下水処理場に集められて、そこでよごれを取り除いています。ここで活躍するのが、「活性汚泥(Activated Sludge)」という微生物の集団です(下の写真)。活性汚泥はもともと排水に空気を送り込むことで形成された沈殿物のことで、1914 年4 月に英国のアンダーソンとロケットが水をきれいにできることを発表しました。日本ではその後、1930年に名古屋にて下水処理システムに使われ、現在に至っています。活性汚泥中には非常に多様でたくさんの細菌、古細菌、真菌、微小動物が共存しており、空気を送り込んでやることで、細菌などが私達の排出した汚れ(有機物)を分解してくれます。活性汚泥に接触させた後、重力で活性汚泥を沈め、上澄みを消毒することでよごれ(有機物)の少ない水が得られるので、それを河川に放流しているのです。

Acitvated_sludge


活性汚泥を用いた排水処理技術は、社会の変化にともなって、有機物除去効率を上げたり、窒素やリンの除去に対応したり、省スペース化に対応したりするために、一部運転方法などが変更されているものの、100年間にわたって使われ続けており、シンプルながら合理的な技術であると言えるかもしれません。

一方で、その仕組み(どんな細菌が存在しているのか?それらはどんな働きをしているのか?)については、開発されて100年を超えた今でも十分に分かっておらず、謎が残ったまま世界中で活躍しています。また、名前やその見た目からはあまり良いイメージが無い活性汚泥は、従来は廃棄物として捉えられてきましたが、最近では視点を変えて農業への有効利用や、エネルギー源としての利用に向けた研究が進められています。このように、長い間使われている技術である活性汚泥法ですが、視点を変えたり、他の分野の技術の向上によって新しいチャレンジが可能になったりするため、現在でも多くの技術者・研究者が取り組んでいます。

普段目にすることはありませんが、私達はこのような生物に支えられて快適に過ごしているというお話しでした。

 

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