応用生物学部での医薬品コースのお話し
| 固定リンク 投稿者: 応用生物学部スタッフ
今年度4月から応用生物学部に医薬品コースが誕生いたしました。最近、高校生から応用生物学部の医薬品コースについてよく質問を受けますので、ここでは簡単に医薬品コースをご紹介したいと思います。
1)薬学部と何が違うの?
“医薬品”と聞くと、皆さんはすぐに薬学部を思い浮かべるかもしれません。私は以前に企業において創薬研究に携わっていました。企業の研究所で働いていらっしゃる方は薬学部出身者が多いことは事実ですが、そのほかに工学部、農学部、理学部など、様々な出身の方がいます。将来、医薬品開発に携わるためには、薬学部出身でなくても十分可能性があるということをご理解いただけると思います。ちなみに私も工学部の出身です。
では薬学部と何が違うのか?大きく違う点は、薬学部は薬剤師免許の取得に重点が置かれているのに対して、応用生物学部では、医薬品開発に直結する最先端技術である生物工学を学び、最終的には卒業研究で実際にその技術を体験することで、生物工学を実学として身につけることを目標としている点です。研究体験を通して身につけた実学は、将来研究や開発分野だけではなく、医薬品の営業や販売などにも大きな力となることでしょう。
2)どのような研究をしているの?
基本的には、生物工学を駆使した研究が中心となります。主にタンパク質や核酸をベースとした創薬研究や、酸化ストレスに着目した疾患解析などを進めています。以下に紹介する4研究室の教員全員が工学部出身であり、そのうち3人は製薬企業で創薬研究に携わって参りました。医薬品コースが実学を尊重し、工学的発想からの薬作りにこだわっていることが理解いただけると思います。調べていただくとわかりますが、生物工学を駆使した創薬研究を進めている大学の研究室は意外と少ないのです。
以下、簡単な研究室紹介となります。詳細は各研究室のホームページでご確認ください。
ガン細胞に細胞分裂停止や細胞死(アポトーシス)を誘導する新規分子をRNA干渉法により探索し、新しい医薬品シーズ(種)として開発(機能性RNA工学(杉山)研究室)、ミルクに含まれる多機能性タンパク質であるラクトフェリンに着目して、ラクトフェリンを安定化させた経口製剤や注射製剤の開発(生物創薬(佐藤淳・中村真男)研究室)、特定の分子に結合するDNAやRNA(アプタマー)を分子進化法により創製し、その核酸配列を用いた新しい診断薬、細胞イメージング技術の開発(生体機能化学(加藤輝)研究室)、抗酸化反応に着目し、高い分析技術を用いた疾患の原因解析や治療法の開発(抗加齢医化学(山本順寛)研究室 )などを進めています。
3)医薬品コースの特徴は何ですか?
医薬品コースの特徴は、大学院への進学者が比較的多いことです。この3月に私の研究室から大学院の修士課程を卒業した学生は9名でした。現在は博士課程D3が1名、修士課程M2が6名、M1が4名です。ちなみに学部学生10名のうち、院進学希望者は8名となっています。医薬品コースの他の研究室でも、院進学者は比較的多いですね。
医薬品コースに限らないことですが、企業との共同研究も積極的に進めています。私の研究室では企業と協力して、ラクトフェリンの生物製剤特許を取得いたしました。大学で開発したものを医薬品として事業化する場合、特許の取得は必須です。研究室に所属する学生は、企業との共同研究を通して、知財の重要さを実感することになります。大学において、これほどの実学教育は他にはないでしょう。
以上、簡単に医薬品コースの一端をご紹介いたしました。医薬品コースに興味のある方は是非大学院に進学して欲しいと思います。東京工科大学では、学部から大学院へ内部進学する場合の様々な支援(選考料(入学試験料)と入学金の免除、返還不要の給付制奨学金、経済的困窮者に対する授業料減免制度、5年間で修士まで修了可能な(通常は6年間)特別一貫プログラムなど)を行っています。将来、大学院への進学を考えている高校生諸君は、この点にもご注目ください。
医薬品コース、生物創薬研究室 佐藤 淳