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2015年6月

植物だって日々考えています!~紅葉に見る植物の栄養リサイクル~

さて今回は、日本の四季の代表的な風物詩である『紅葉(黄葉)』から、植物の巧妙な生存戦略と栄養リサイクル機構に関して、少し先端的な研究を交えて、解りやすくご紹介出来たらと思います。

 皆さんは、秋の落葉を見るとどのように感じるでしょうか?

『夏場元気に緑色だった葉が、寒くなってきたので元気なく黄色になり、そして落葉している』と何となく思う人もいるかも知れません。でも、この『黄葉と落葉』には、植物が厳しい自然環境に如何にして適応してきたかの知恵がたくさん詰まっています。

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工科大の秋

落葉樹は春に冬芽が発芽して葉を展開し、夏の間に盛んに光合成をして、自らを生長させ、種子を作るための養分を貯蔵します。秋になり日照が短く気温が下がってきたとき、落葉樹が緑の葉をつけたままだとしたらどうなるでしょう?葉の葉緑体での光合成能力が落ちて植物体全体のエネルギーを維持できなくなります。そこで生育に不利な時期には、一度落葉して、幹側に栄養を蓄積させ、翌年の春を待つのです。

つまり、植物は日長や温度等の外部環境を正確に把握して、自ら積極的に紅葉(黄葉)と落葉を引き起こしていることになります。

 葉の葉緑体には、光合成を効率的に行うための複数の色素が含まれており、大部分を占める葉の緑色はクロロフィルに由来し、黄色はカロテノイドに由来します。紅葉の時期に、葉が黄色くなるのは、色素の大部分を占めるクロロフィルが分解され、アミノ酸にまで分解され、隠れていたカロテノイドの黄色が現れることによるためです。このクロロフィル分解により、葉から大量のアミノ酸が幹側に移動・蓄積し、新芽の新しいエネルギーになるわけです。

 最近の私達の研究から、皆さんが毎日食べているイネにおいて、『オートファジー(自食作用)』と呼ばれる分解システムが、葉緑体の分解を担っており、植物体内のアミノ酸や窒素に代表される栄養のリサイクルに貢献していることが明らかになりました。

http://www.teu.ac.jp/press/2015.html?id=82

 緑色や赤色の蛍光を発するタンパク質(GFPRFP)を利用したライブセルイメージング技術をイネに適用し、イネの生きた葉や根でオートファジーを可視化することに成功しました。さらに、葉緑体がGFPで光るイネを作出し、葉緑体分解の可視化にも成功しました。このような研究は、植物の栄養リサイクル機構の解明に役立つだけでなく、「効率的に栄養を利用できる植物を作る」といった応用研究への発展も考えられます。

 オートファジーは、植物に限らず、ヒトを含む動物や酵母といった「真核生物」に分類される生物が広く持っている機能で、細胞の一部を小胞で隔離し、その内部を分解するシステムです。現在、オートファジーは創薬を含めた多くの研究者が注目する生命現象の一つとなっています。

 もしかしたら樹木の黄葉や落葉にも、この『オートファジーによる葉緑体分解』が重要な役割を果たしているのかも知れませんし、研究の興味は尽きません!

 是非皆さんも、身近な植物や樹木をちょっと立ち止まって、見てみて下さい。

日常に溶け込み過ぎて気にも留めない現象にも、実は不思議や興味がたくさん隠れているかも知れませんので…

 

来須


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「コエンザイムQ10の基礎と応用」の出版

 編集した学術書「コエンザイムQ10の基礎と応用」を2015年5月31日に丸善から上梓した(230頁,3000円).各分野25人の専門家に分担執筆を依頼し,出来上がった日本初のコエンザイムQ10に関する専門書であり,待望の書であるとの高評価をいただいている.自分自身は発見と物理化学的性質,抗酸化作用,吸収・輸送,日本コエンザイムQ協会のあゆみの各章を担当した.
 コエンザイムQ10の発見者は米国のFred Crane博士で,弱冠31歳の時の仕事である.1957年に発表された論文はわずか2頁であるが,ミトコンドリアでのATP産生に不可欠の成分であることを明らかにしていることが特筆される.脂肪酸のβ酸化で有名なボスのDavid Greenが著者に加わっていないことも興味深い.インドに長期出張していて発見に立ち会っていなかったのである.
 基礎編では他にATP産生と生合成・欠損症が取り上げられている.一方,応用編では心臓病,認知症,皮膚疾患,口腔疾患,肝疾患,消化管疾患,腎・泌尿器疾患など臓器別の疾患や健康・スポーツ,栄養との関係が議論されている.コエンザイムQ10は日本で初めて工業化された素材であるので,その歴史が資料編にまとめられている.
 日本学士院長であり国立がん研究センター名誉総長の杉村隆先生には序文を賜った.エイムステストで有名な恩師Bruce Ames教授に紹介していただいた1986年以来,何かとご指導をいただいている.お忙しい中,全てのゲラを読んでいただいた上での簡潔かつ的確なコメントには感服している.そして小生のことを科学者としては長年の友人とお考えいただいている.何よりもうれしく,身が引きしまる.
(山本順寛)
コエンザイムQ10の基礎と応用
研究室のページ

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2015年6月21日(日)のオープンキャンパス

2015年6月21日(日)に行われる応用生物学部のオープンキャンパスの内容です。
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学部説明
■時間:11:15-11:35、13:20-13:40
■場所:片柳研究所 4F E403
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模擬講義1
いろいろと使われている遺伝子組換え技術 (医薬品コース/佐藤淳教授)
バイオ洗剤、タンパク質医薬品、iPS細胞・・・・みんな遺伝子組換え技術のお世話になってます!
模擬講義2
肌の機構と洗顔剤の選び方 (先端化粧品コース/柴田雅史教授)
肌の仕組みと洗顔が必要な理由を解説し、そして自分の肌に合った洗顔剤・セッ
ケンの選び方を紹介します。
■時間:11:35-12:15
■場所:片柳研究所 4F E403
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研究室紹介 
3年夏以降に各研究室に配属された学生は、さまざまなテーマで研究を行います。それらの研究のおもしろさを紹介します。
■時間:10:00-16:00
■場所:片柳研究所 2F、3F、4F、5F、9F
[生命科学・環境コース]
■新しい微生物、社会に役立つ微生物
微生物や微生物の持つ機能は私たちの生活に見えないところで役立っています。そんな微生物の見つけ方、性質について説明します。<『バイオプロセス工学研究室』:片柳研究所 2F KW206教室>
■DNAを見てみよう!
DNAは非常に小さいため通常見ることができませんが、特殊な方法を使えば
見ることができます。是非DNAを直接見に来てください!<『生物電気工学研究室』:片柳研究所 3F KW307教室>
■緑や赤に光る微生物を観察してみよう
水の汚染を測定できる光る微生物を顕微鏡で観察してみよう。 <『バイオセンサー研究室』:片柳研究所 5F KW502教室>
[医薬品コース]
■大学発の医薬品を目指して
自然免疫で働くラクトフェリンというタンパク質の血中安定性向上に成功し、その創薬化を進めています。<『生物創薬研究室』:片柳研究所 4F W413教室>
■酸化ストレス病と抗酸化薬
生活習慣病がん老化など酸化ストレスの関与する病は多い。抗酸化力の強いエダラボンやコエンザイムQ10に期待が集まっている。<『抗加齢医化学研究室』:片柳研究所 9F KC0904-2教室>
[先端食品コース]
■機能性食品の開発研究
老化の抑制、アレルギーを予防、緩和する等、健康に寄与する機能性食品の探索、開発研究を進めています。<『免疫食品機能学研究室』:片柳研究所 2F KW205教室>
■老化を起こす反応を見てみる。
ヒトの老化はなぜ起こるのか?ヒトの老化を起こす「糖化」の反応を実験室で実際に起こして体験してみましょう。<『アンチエイジングフード研究室』:片柳研究所 3F KW303教室>
■油脂(あぶら)と食の安全
当研究室では、油脂(あぶら)の劣化が原因となる食品の品質低下について調べています。 <『食品機能化学研究室』:片柳研究所 5F KW507教室>
■食品の食感を測定しよう
食品(主にかまぼこ)の食感をレオメーターという機械を使って測定します。同じかまぼこでも作り方や原料でどのように食感が変わるかを調べてみましょう。<『高機能製品食品研究室』:片柳研究所 5F KW513教室>
[先端化粧品コース]
■肌を科学する
自分の肌の水分量や肌理(きめ)をみてみよう。また、色彩感受性もチェックしてみよう。<『美科学研究室』:片柳研究所 3F W305教室>
■酸素の科学~化粧品から医療まで~
老化や病気の原因となる酸化のメカニズムやその防御方法について分かりやすく説明します。<『抗酸化物質化学研究室』:片柳研究所 5F W504教室>
■いろんな細胞を観てみよう
線維芽細胞・がん細胞などの培養細胞や、皮膚角質・口腔粘膜細胞・毛髪などの来場者細胞を顕微鏡で観察してもらう。<『細胞制御研究室』:片柳研究所 5F KW508教室>
■乳液を作ってみよう
わずか1滴で水と油を乳液に変える「界面活性剤」。界面活性剤の種類によって
全く性質の異なる乳液ができあがる不思議を体験できます。<『化粧品材料化学』:片柳研究所 5F W515教室>
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学部コース紹介
生命科学・環境、医薬品、先端食品、先端化粧品の4つのコースについて、それぞれの特色や学習内容を紹介します。学習内容だけではなく、どんなキャンパスライフを送っているのか、在学生のスタッフが質問にお答えします。
■時間:10:00-16:00
■場所:片柳研究所 1Fバイオホール
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研究紹介
応用生物学部ではさまざまなテーマで研究が行われています。特徴的なテーマや代表的な研究室について紹介します。
■時間:10:00-16:00
■場所:片柳研究所 1Fバイオホール
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教員による相談コーナー
入試、大学の学び、就職等について教員が質問にお答えします。
■時間:13:00-16:00
■場所:片柳研究所 1Fバイオホール
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化粧品サークル紹介
■時間:10:00-16:00
■場所:片柳研究所 4F KW401教室
■リップクリームの作成体験
何をつくれるのか?どんな化粧品ができるのか?すべては来てからのお楽しみ!あなた次第で良くも悪くもなるオリジナルブランドの化粧品を一緒につくってみませんか?
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工科女子ブース
■時間:11:00-16:00
■場所:フーズフー2F
工科女子と気軽に相談できるコーナーを設置。工科女子のキャンパスライフや研究内容、ココだけの話などが聞け、自由に相談もできます。工科女子オリジナルグッズもプレゼント!
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その他、入試説明会、キャンパスランチ体験、在学生によるキャンパスツアー、学生会館(学生寮)見学、個別相談コーナー/入試相談コーナー/資料コーナーなどがあります。
 
全体スケジュールはこちらを参照してください。

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