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研究の紹介(阿部周司先生)

みなさん、こんにちは。応用生物学部の阿部です。

もうすぐ、東京工科大学に着任して1年になります。今年は本当に、教授の梶原先生をはじめとした多くの先生方、また、個性的な研究室のメンバーに支えられ、色々な事を経験できた良い1年になりました。3月に研究室を巣立っていく学生には、研究室で学んだこと(実験手法だけでなく、物事に対する取り組み方やここ一番という時にどれだけ踏ん張れるかということも含めて)を活かして、社会で活躍してほしいと祈っております。

 

さて、ここからは、私が取り組んでいる研究テーマについてお話しさせて頂きたいと思います。

現在、私は「食品原料の加工特性」に関して、「冷凍すり身」と「再凍結」という2つのキーワードを軸に研究を行っています。これだけ、聞いただけでは、どんなことをやっているのかすぐにピンと来ないと思いますので、説明いたします。

 

早速ですが、皆さんが今日(これを朝見ている方は昨日の)食べた御飯のメニューを思い出してください…

どうですか?思い出せますか?

 

ちなみに、私が昨日食べたのは、白菜と鶏のささみを使った鍋と冷凍コロッケと御飯です。

 

この中で食材をそのまま食べた(例えば、キャベツを丸かじりしたようなもの)ものが無いということはわかりますか?鍋も御飯も食材を加熱(加工)していますし、冷凍コロッケも企業が工場でジャガイモからコロッケに加工して冷凍したものをレンジで温めなおしています。おそらく、みなさんが思い浮かべたメニューのほとんどが何らかの加工がなされていると思います。

 

ここで、重要となるのが、私たちが消費する食品のほとんどが「原料」を加工してできているということです。そして、「原料」の状態や特性というのは非常に重要で、「原料」の状態や加工特性はその後の「製品」の品質を左右すると言っても過言ではありません。つまり、原料を詳しく知ることで、どのような製品ができるかを予測してコントロール(生産工程の微修正)ができるわけで、それが品質の高い食品の生産につながるわけです。

先ほどの冷凍コロッケを例に挙げて図に示すと、ある品種Aというジャガイモを普段原料として使っていたのに、急な値上がりで品種Bというジャガイモを原料として使わざるを得なくなった場合、Aのジャガイモと同じように作っていたのでは、これまでと同じ品質のコロッケが作れないことが多々あります(製品のコントロールができない)。こういう時にどうしたらよいかというと、Bのジャガイモの特性を調べて、それに適した加工をするとおいしいコロッケができるわけです。

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こういった原料の加工特性について、私は「冷凍すり身」と「再凍結」をキーワードに研究を行っています。

みなさんが一度は目にしたことのある水産練り製品(かまぼこや魚肉ソーセージ、カニカマなど)は日本の水産加工品生産量の25%を占めており、水産加工品の中ではトップの生産量を誇っています。しかし、水産練り製品の原料となる冷凍すり身は日本だけでは生産が間に合わず、現在では海外からの輸出に頼っています。そのため、東南アジアでは冷凍すり身の生産量が大きく伸びており、その他にも現在では南米やアフリカでも生産されています。そこで、問題となるのはそのような地域は熱帯(または亜熱帯)であって、さらに冷凍設備が日本やアメリカに比べると脆弱であるということです。それがどう冷凍すり身に対して問題であるかというと、冷凍すり身は常に冷凍状態で保管していなければいけませんが、冷凍設備が故障したり、運搬中品温が上がったりして凍結状態のすり身が解凍状態になることがあります。そして、解凍されたことを知らずにまた冷凍保管される、これが再凍結です。

 

一般に再凍結は品質を劣化させることは知られていますが、それは製品レベルではよく知られているものの、原料レベルではどれ程品質が劣化し、製造に影響したり製品に影響したりするのか、そういったことはほとんど知られておりません。そこで、私は「冷凍すり身」の「再凍結」が水産練り製品の製造にどのように影響するかを調べています。

 

当然、この研究をするうえで、実験ではかまぼこを作りますから、学生もかまぼこが作れるようになります。そうして身に着けた技術を使って、昨年の大学祭では冷凍すり身を使った製品を販売しました。下の写真は学生が作った製品で、2日で約400食以上売れました。

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食品コースではこのように、研究を通して食品に触れることが出来ます。食について興味がある方は是非、東京工科大学の食品コースの研究室をのぞいてみてください。食品は身近な存在であり、研究分野としてはわかりやすい分野ではありますが、食品の研究を進めれば進めるほど、食品というのは奥深いことがわかります。この記事を見ている方たちが食品に興味を持って、私たちと一緒に食品の研究ができることを楽しみにしています。

応用生物学部高機能性食品研究室 阿部 周司

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