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個性のある皮膚の細胞

 皮膚は人間の体の最も外側にある器官です。そして、体の組織の中では少し変わった構造を持っています。皮膚は体の外側から表皮と真皮に分けられます。表皮は表皮細胞と云われる細胞で構成されています。表皮細胞の中でも一番下に存在する細胞層だけが細胞分裂をすることができます。分裂した表皮細胞は、細胞の性質を変化させながら、体の外側に向かって上がっていきます。そして、体の最も外側にある角層となり最後は垢となって剥がれ落ちていきます。角層になると表皮細胞は生命活動を停止し、死んでしまいます。つまり、表現はあまり良くありませんが、私達は表皮細胞の死骸に体全体を覆われていることになります。しかし、この死骸はと単なる死骸ではなくしっかりとした機能を持っている死骸です。表皮細胞が死に行くプロセスは、分化とか角化と呼ばれて非常に大切なプロセスです。このプロセスが正しく行われないと皮膚が乾燥したり、外からの刺激に対して敏感になったりします。アトピー性皮膚炎もこのプロセスが正しく行われないことが一つの原因とかんがえられています。さて、この表皮細胞の死骸は角層細胞と呼ばれますが、角層細胞はセロハンテープを使って簡単に採取することができます。皮膚にセロハンテープを貼り付けてはがすと、接着面が白く濁ります。これは、角層細胞がセロハンテープに接着して白く見えています。この角層細胞を顕微鏡で観察すると敷石Masaki2015_2のようにきれいに一枚の層で剥がれている部分とそのすぐ横に何層も積み重なって剥がれている部分が混在しています。皮膚にはこの角層細胞を剥がして垢として排出する機能が備わっていますが、どうも表皮細胞には個性があるようで、同じ人の同じ部位の皮膚をみても剥がれかたに違いがあります。何層も積み重なって剥がれている状態は皮膚の状態が悪いとか乾燥しているときによく見られます。しかし、なぜ、このような表皮細胞に個性が出るのでしょうか。理由ははっきりとはわかりません。すべての表皮細胞の状態がシンクロナイズしていることが理想的な状態であるなら、なぜ、同じ人の同じ部位の皮膚で個性が出るのか非常に興味があります。解明したいと思いませんか。

正木 仁

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