東京工科大学 応用生物の広場東京工科大学

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2014年12月

応用生物っぽくない技能

2014/12/05 | 固定リンク

 

研究室ではヒト細胞を培養して、これを研究材料にしています。その培養作業にとても便利な器具があって、と申しますか、これがないと全くうまくいきません。それは自動ピペッターというものであります。

    *(講談師が扇子をポンと打つ間合い)

形がとてもチャーミングで、私のお気に入り器具の一つです。拳銃に似ていますが、引き金が2つもあります。この自動ピペッターですが、学生にこよなく愛されて使われて10年たったある日に、何の予告もなく動かなくなりました。寿命でしょうか。電気製品は10年も働いてくれれば良い方です。普通ならご苦労様といって引退宣言をして、新しい器具を購入するところです。ですが、この器具は結構な価格でありまして、ママチャリが2台ぐらいと同じなのです。困ったことに、研究室の予算もビンの底が見え始めていました。さて、ほんとに困っていました。

    *

顔に出るのですね。大学院の学生が分解して見てみましょうかと声をかけてくれました。ダメもとで、直れば嬉しいということで、お願いしました。何日目でしたか、その大学院生が小さな電子部品を持ってきて、この部品が怪しいと言います。大豆ぐらいの大きさで足が3つありました。初めて目にするものでありまして、これが何だかさっぱり見当がつきません。大学生も自分で怪しいと言っておきながら、何だかわからない様子。

    **

こうなったら秋葉原に行くしかない。場所はJR総武線高架下にあるラジオセンター。幅1メートルもない小道の両側に、間口2メートルほどの商店が約40店舗ひしめく電子・電気部品マニアの聖地のひとつです。展示してある商品を見定めて、陳列台の向こう側に座っている店主に目線を向けました。黒縁メガネのすこしほっそりした初老の男性で、新聞を読んでいました。私は例の大豆くらいの電子部品をカバンから取り出して「あのー、こういう部品を探しているのですが」。それを手渡しました。店主は受け取ると拡大鏡で品定めをして「スイッチだね」と、脇棚の小ケースを取り出して「これで良ければ使ってみては」と渡してくれました。確かに同じ形です。でも製品の規格らしい印字があります。これがわからない。とりあえず値段を聞いてみましたところ、缶コーヒー程度でした。ダメもとで購入を決定。

    *

研究室に持ち帰って大学院生に見せると、この電子部品の正体がわかったことに大変驚いていました。さて、大学院生の方は何日か後に「直りました」と報告してくれました。高校の授業で「はんだ付け実習」をしたとのこと、その経験が役立ったようです。ガッテン・ガッテン。ママチャリ2台が缶コーヒー2本に変わった瞬間です。私は大喜び。学生はその様子に良い気分。

    **

研究室は効率だけを追い求めていません。今期も意外な展開があり、学生の技能が光りました。                      (杉山友康)

Sugiyama2014

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