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微生物の名前

大学に入学したばかりの学生さんに「知っている微生物の名前は何?」と聞くと、「大腸菌、納豆菌、酵母、乳酸菌」などの答えが多くかえってきます。これらの名前は間違っているわけではありませんが、これらの名前は慣用名という、その微生物の性質を示した通称のようなものであり、学問の世界では「学名」なる別の正式な名前を持っています。
 

学名はラテン語やギリシャ語などで表記されることが多く、非常に覚えにくく、読みにくくなっています。しかし、この学名は世界共通のものなので学名表記にすることで世界中の研究者が何の菌について説明しているかわかってくれます。

この学名表記で記すと、大腸菌は Escherichia coli、ビール酵母はSaccharomyces cerevisiaeとなります。大腸菌のEscherichiaは属、coliは種という生物分類学上の分類階級をあらわしています。わかりやすくたとえるなら、属は人間の姓、種は名前のようなものです。

このラテン語による表記は、とっつきにくいものですが、その意味をたどると面白いことが分ります。たとえば、大腸菌の学名Escherichia coliEscherichiaはオーストリアのEscherichさんが発見したこと、coliはラテン語の大腸を意味しています。つまり、直訳すると「Escherichさんが大腸から発見した微生物」となります。意外と単純です。

このように、微生物の名前は、その発見者、発見された場所、その性質(形態、熱に強いなど)を反映したものが多く、調べるとそれなりに楽しいものです。

今回は変わった名前がついている微生物を紹介します。今年の冬もインフルエンザは猛威をふるいましたが、微生物にはインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)という名前の菌があります。ここで「あれ?」とおかしいことに気が付いた人がいるかもしれません。「たしか、インフルエンザってインフルエンザ・ウイルスに感染することによっておこるのでは?」と。
 

そう、実はインフルエンザ菌はインフルエンザの病原体ではありません。インフルエンザ菌は1891年にヨーロッパでインフルエンザが大流行したときに、「間違って病原体と判断された」菌なのです。発見後、しばらくはインフルエンザの病原体は、インフルエンザ菌と考えられていたのですが、後の1933年の研究でインフルエンザは「ウイルスによって発症するものである」ことがわかりました。

しかし、インフルエンザ菌の名前だけは何故か現在も残ったままです。たしかに、インフルエンザにかかった時に検出されることもある菌なのですが、、、

普通は改名されそうなものですが、不思議なものです。

 ちなみに、Haemophilus influenzaeHaemophilusとは「血液を好む」ことを意味します。これは、インフルエンザ菌が生育に血液成分を必要とすることから名づけられています。

西野

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