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夏休みの自由研究

2013/08/28 | 固定リンク 投稿者: 応用生物学部スタッフ

最近問題になっている美白有効成分ロドデンドロールを合成してみました。三角フラスコにラズベリーケトン(4 mmol)を入れ、メタノール (10mL) で溶かし、この溶液を氷上で冷却し、撹拌しながら水素化ホウ素ナトリウム (0.5 当量)を加え、さらに室温で10分間反応させました。シリカゲル薄層クロマトグラフィー (TLC: 展開溶媒: ヘキサン:ジエチルエーテル=1:1) を用いて反応の進行状況を調べると、ほぼ完全に反応が進みました。反応溶液を氷冷して飽和塩化アンモニウム水溶液を発泡しなくなるまで少しずつ加えました。抽出溶媒としてジエチルエーテルを用いて分液漏斗で有機層(ジエチルエーテル層)を抽出しました。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、エバポレーターで濃縮し粗生成物を得たのち、再結晶しました。得られた生成物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC: ODSカラム、277nm、0.1%酢酸:アセトニトリル=8:2)で確認すると、純度の高いロドデンドロールが得られました。さらに、1H-NMRとLC-MSで確認することができます。

 せっかくだから、B16メラノーマ細胞で細胞毒性を発現する濃度を調べてみました。その結果は9月2日以降に前田研究室のホームページ(http://maeda-lab.jp)に掲載する予定です。

さて、問題です。

①   この合成反応は酸化反応ですか、それとも還元反応ですか。

②   なぜ、水素化ホウ素ナトリウムをケトンに対して0.5当量も加えたのですか。

③   飽和塩化アンモニウム水溶液は何のために加えたのですか。

④   ロドデンドロールには立体異性体が存在しますが、これは、ジアステレオマー(幾何異性体)ですか、それともエナンチオマー(光学異性体)ですか。

⑤   この方法で合成されたロドデンドロールの立体異性体はどのタイプと考えられますか。④でジアステレオマーと思う場合はcis、trans、cis/transで、 エナンチオマーと思う場合は(+)、(-)、(±)で答えなさい。

Raspberry_2

ラズベリーケトン 

Rododen_2

ロドデンドロール

問題が解けた高校生は kmaeda@bs.teu.ac.jp に答案を送ってください (ただし、2013年9月末まで受付)。

 (前田)

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