3回目のブログ
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3回目のブログ
応用生物学部
後藤正男
ブログ1、2回は就職や卒業生との近況を書きましたが、今回は仕事中心の近況です。
高校生で今回の私のブログを読む学生は、専門用語が多いのでわかりにくいと思いますが、大学の教員は研究や講義、実験でこんなことをやっているんだなと理解してください。
糖尿病関連のセンサーの研究を長年やっていますが、今回、日本臨床化学会の学会誌、臨床化学に「血糖測定用全血試料の前処理方法と試料の取扱いに関する指針」を掲載しました。日本臨床化学会POCT専門委員会(委員は11名、連名)で3年余りの会合、デスカッションを経ての労作(臨床化学、第42巻、第2号、177-190、2013)です。内容は血糖採血管による採血後の試料の前処理方法および試料の取り扱い方ならびにGLUおよびHbA1cの測定への適用について規定したものです。血糖の測定は採血管に設置されている解糖阻止剤の選択など、まだいろいろ課題があり、病院など現場関係者の参考にしていただきたいと考えています。
材料関連では、あいかわらずナノチューブをやっていますが、バンブータイプのナノチューブが無機物質や神経伝達物質の計測の際、感度や選択性に優れていることを、共同研究者の来栖先生や学生が明らかにしてくれていました(特許、論文化済)。今回、助教の鈴木先生が得意の細胞の研究に応用して、ドーパミンの高感度計測に成功しました。論文は「Carbon nanotube multi-electrode array chips for noninvasive real-time measurement of dopamine, action potentials, and postsynaptic potentials, Biosensors and Bioelectronics,2013」です。もう少ししたら大学の図書館でも読めます。国のプロジェクトとして、パーキンソン病のためのドーパミン産生細胞がiPS化検討の重要項目として挙げられていますが、細胞の品質モニタリングのデバイスになるのではないかと期待しています(特許、論文化済)。
センサ関連では、抗酸化能を行っています。抗酸化の研究は、本学のテーマに即して言えば、医療、健康、食品、化粧品、環境と幅広い裾野を持った分野です。従来の評価法であるDPPH法やORAC法などに比べ、統一され(規格化され)、簡便な評価法を確立することを目的して研究を行っています。従来のデータは分野により評価法がばらばらで比較が困難です。試料としては身近な食品、飲料水、植物抽出オイル(アロマオイル)、生体関連では血液、尿、唾液などが対象となります。現在種々の野菜、果実、飲料水、清酒、ワイン、コーヒー、茶などのデータを蓄積中で、データベース化を考えています。食品に関しては、特に生活習慣病の予防に役立ち、長寿化の一助となる評価技術を確立したいと考えています。今年度は8月に日本醸造学会で発表し、順次諸学会で発表していく予定です(特許化済)。
健康療法関連では、アロマセラピー、ネイルセラピー、カラーセラピーなどを行っています。セラピー関連はホームなどでの、ご老人、特にご婦人のセラピーとして、歓迎されます。アニマルセラピーが最も有効と思いますが、それほど準備しなくても上記3点は現場ですぐに実行可能です。現在、無害、癒しに力点をおいた大学発、ジェルネイル、大学発、ニューフレグランスの開発を行っています。先日、6月23日のオープンキャンパスでは大学発、ジェルネイルとして高校生や同伴のご両親に公開して喜んでいただきました(特許出願予定)。
研究面の現状は以上ですが、授業の方は昨年度から実験担当が3年から1年にかわりました。応用生物学部の1年の化学実験です。高校のとき、化学実験を経験していない学生もいますが、カリキュラムをとおして、化学の知識を学ぶことの重要性は1年生にかなり浸透しているようです。写真は化学実験の最初の様子ですが、ガラス器具の取り扱い、天秤操作、ピペット類の公差、有効数字の処理の仕方などを実験をとおして学んでいる姿です。私の方もある意味、初心に帰り、新鮮な授業です。
次にブログを書く機会があれば、題名は「蒲田だより」の予定です。
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