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白い秋の空とアンドロメダ星雲

秋の日の白光にしも我が澄みて思ふかきは為すなきごとし

昭和18年、北原白秋の作です。秋の日の穏やかな日差しに満足している心情を詠んだものだと私は理解していますが、みなさんはいかがでしょうか。秋の空は澄み切っていて、夜になると星がきれいに見えるのが通例です。しかし、今年の秋はお天気が悪いことがしばしばありますね。冬が近づいて大気が安定しないことには、きれいな星空が拝めないのかもしれません。秋の星座の中で一等星は、みなみのうお座のフォマルハウトただひとつです。おおいぬ座やオリオン座がひしめく冬の夜空と比べて、秋の夜空はさびしい感じがします。そんな秋の夜空ですが、肉眼で見える最も遠い天体が見つかるかもしれません。ご存知、アンドロメダ星雲です。星雲と言われますが、れっきとした小宇宙です。私たちが住んでいる太陽系は、天の川銀河に属していますが、われわれから200万光年離れたところにある銀河(小宇宙)なのです。肉眼で見えると言われますが、東京近辺で見ることは困難です。暗いはずの夜空が光害によって白っぽくなっているからです。しかし、ごく稀に光害が少ない条件に恵まれると、ぼんやりとした光の雲のように見えることがあります。

Sasaki

図 小型デジタルカメラによって撮影されたアンドロメダ銀河(矢印、筆者撮影)

応用生物学部の環境生物コースの一つの興味として、環境中の生物の分布はどうなっているのだろう、というテーマがあります。例えば、地表から遠く離れた上空のどこまで生物がいるのでしょうか。国際宇宙ステーションの軌道(上空400 km)はどうでしょう。地球と月の間の空間は?色々考えると興味は尽きません。かつてアポロ計画という有人月面着陸計画がありましたが、このとき宇宙船に付着した微生物が月まで行き、再び地球に帰ってくるまで無事生存していたという事実がありました。また、航空機によって上空の大気をサンプリングした結果、宇宙からの電磁波に耐性を持つ細菌が見つかったという報告もあります。ここ数年、我が国では特に、私たちの体をつくる細胞に関する研究ばかりが注目されているようですが、夜空の星を見上げながら、生物はどこまで生育圏を広げているのだろうかと思いをはせる心の余裕を持ちたいものです。

イクメンプロフェッサー ササキ

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