風が吹くと・・・イテッ!その2
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こんにちは,応用生物学部のFです.
9月も下旬を迎え,ようやく涼しくなってきました. 暑いのが苦手なので,涼しくなるとうれしさのあまり,つい飲みすぎてしまいそうです(!).
さて,前回は尿酸が痛風の原因であること,そしてそれにも拘わらず,優れた抗酸化物質として体内で重要な働きをしていることをお話ししました.とは言っても痛いものは痛い!ということで今回は尿酸レベルを下げるお薬についてお話しします.
生物はプリン体を体内で分解し尿酸を生成します.その過程で働く酵素の一つにキサンチンオキシダーゼというものがあります.キサンチンオキシダーゼはヒポキサンチンを酸化してキサンチンにする反応(1)と,さらに生成したキサンチンを酸化して尿酸にする反応(2)を触媒します.
この酵素反応で尿酸が生成する訳ですが,この酵素の働きを抑えれば尿酸の生成量は低くなります.このような働きをするものを阻害剤(インヒビター)といいます.キサンチンオキシダーゼのインヒビターとして市販されているものにアロプリノールがあります.
このアロプリノール,構造を見るとヒポキサンチンやキサンチンによく似ていますよね.これがキサンチンオキシダーゼに作用すると,キサンチンオキシダーゼはヒポキサンチンやキサンチンの代わりにアロプリノールと結合してしまいます.その結果ヒポキサンチンやキサンチンの酸化反応が抑えられるという訳です.このように似て非なる物質による阻害を拮抗阻害といい,代表的な酵素阻害の手法です.
というわけで,私は毎日アロプリノールをビールで(!!)飲んでいます.
それではみなさん,「天高く馬肥ゆる」秋を楽しみましょう!
最近キャンパスでも「先生,痛風大丈夫?」と声をかけられるようになったFでした.