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映画「レッドクリフ」を観て

この間、テレビで映画「レッドクリフ(Part1・2)」を観た。DVDを入れるとこれで3回目だ。ストーリーは分かっているのに、また観てしまった。自覚はないけれど、「三国志」が好きなためだと思う。実際、横山光輝著の漫画「三国志」の単行本を全巻読んだ覚えがある。この「三国志」の名前は、ほとんどの人が耳にしているに違いない。この物語は、1800年前の中国の三国時代と呼ばれる頃を描いた時代小説で、とくに明代に書かれた「三国志演義」が漫画や映画の元となっている。漫画「三国志」では、蜀の初代皇帝である劉備を主人公に、孔明や関羽、張飛といった仲間らと共に、魏および呉の初代皇帝となるライバル、曹操や孫権との戦いを描いている。主人公は劉備なのだが、劉備の軍師である孔明や、文武に優れた関羽、勇猛な武人の張飛、ライバルの曹操や孫権など、そのキャラクターの多彩さがこの物語の魅力でもある。おそらく「三国志」ファンには、自分の好みのキャラが少なくとも一人はいるに違いない。とくに劉備・曹操・孫権の3人は、一国の君主であるが、その性格がまるで違う。しかし、どちらも一国のリーダーとしてのカリスマ性と才能を持っている。昨年、中国が日本を抜いてGNPが世界で2番になったが、中国は、「三国志」でも取り上げられるような魅力的なリーダーを数多く輩出していることからも何となく納得がいく気がする。この閉塞感に悩まされている現代の日本に、「三国志」に見られるような政治的リーダーが出現してもらいたいものだ。

話を本題に戻すと、映画「レッドクリフ(Part1・2)」では、「三国志演義」の中でも有名な長江での赤壁の戦いを、トニーレオン演じる呉の将軍、周瑜を主人公に物語が展開している。映画では、周瑜の武芸や音楽(琴)に優れ、部下に慕われる有能な指揮官としての姿の他、周瑜と妻との夫婦愛が描かれている。

しかし、今回映画を観ていてあらためて気になったシーンがあった。赤壁の戦いでは、周瑜率いる呉の軍が、曹操の水軍を火責めにするのだが、その際、魚油を用いた火炎瓶が使われていた。この魚油は、魚を細かく刻んだ後、煮て湯面に浮き上がった油を採取する方法(これを「煮取り」という)で作られていた。そのとき、中村獅童演ずる、周喩の部下で水軍の教官の甘興が、この魚油の火炎瓶のできの良さに部下をほめていたが、科学的に見ると魚油はまさにバイオ兵器といえる。戦国時代、田畑が荒れている中、油糧資源としての魚油は貴重であったと考える。それにも関わらず食品である魚油が兵器として使われていたのだ。食品となる生物が兵器として使われないよう、また食料不足による争いが起こらぬよう、応用生物学部に所属する者にとっては、その科学知識を役立てなければと、「レッドクリフ」を観て、あらためて考えさせられた。(遠藤)

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