大学でボート

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生命科学・環境コースの吉田です。昨年度、修士課程を修了した留学生から卒業時に八王子キャンパスの絵葉書セットを頂きました。まずはそれをご覧ください。

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何か変ですよね。そう!本学部の研究室が入っている片柳研究所棟が無いのです!ちょっと調べたら、2000年から片柳研究所棟の建設が始まったようです。

http://blog.bs.teu.ac.jp/blog/2011/02/post-36aa.html

なぜ、20年前の絵葉書を昨年度卒業した留学生が持っていたのかは謎ですが、面白いからといって頂きました。この絵葉書セットには下記も入っておりました。

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正門近くの池でボートに乗れるのかい!って思わず突っ込みました(笑)。20年前と今では全然違うのだなーと思って、この池の近くを歩いていたところ、なんと、ボートに乗っている方を発見してしまい、思わず写真をとってしまいました。

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何か作業をされていたので事務の方でしょうか。自由に乗れることはないかと思いますが、機会があれば乗ってみたいですよね。

生命科学・環境コース 吉田

八王子キャンパス周辺ガイド

| 投稿者: 応用生物学部スタッフ

ふつうは学バスだけど・・・  東京工科大学の八王子キャンパス(応用生物学部)へ来るための最も一般的な経路は,八王子駅か八王子みなみ野駅からの無料の学バスである。しかし,そんな日常に飽き足らない人は,ちょっと歩いてみるといいんじゃないかな。絹の道とか,まっとうな立ち寄りスポットもあるんだけど,もう少し生活感のある場所をご紹介をします!地図にアルファベットで記号を打ったので参考にしてください。

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温泉,日帰り入浴施設  まず,紹介するのが,地図上にRG, RYの記号で示した日帰り入浴施設である。RGが1,000円くらい,RYが800円くらいで学生にはちょっと高いが,大学近辺に一人暮らしをしている学生には好評のようだ。ただし,RYが開店した時期に応用生物学部生がそこでアルバイトをしているという情報が教員に流れたため,学生に裸を見られるのは恥ずかしいという意識が働き,教職員の利用は少ない。いまも応用生物学部の学生がここでアルバイトしているかどうかについては情報がない。

戦国時代の城跡  地図のKJには室町時代に築城され,戦国時代まで使われていた城がある。といっても天守閣が現存しているのではなく,城郭のあとなど土地のデコボコが残るだけ。普通の応用生物学部の学生にとって行く必要のないところだが,桜の季節にここで花見をする研究室があったり,城跡にある沼や菖蒲園から実験で使う微生物を採取する研究室がある。

牧場アイスクリーム  応用生物学部の1年生を中心に,農業に関心がある人たちがサークル設立を現在準備していて,そのメンバーがIMの場所にある牧場見学へこの6月に行ったようです。乳しぼり体験とかバター作成なんかもできるところのようです。大学から歩ける距離のところに牧場があるなんて知らなかったです。

看板のない喫茶店  大学から御殿峠を越えてすぐの地図上PBの場所に喫茶店がある。営業しているのかしていないのか,店の外からわかりにくく,しかも,喫茶店であることすらわかりにくい。ヨーロッパの古城のようなたたずまい。一杯3000円のコーヒーなどのマニアックな品もあるが,実際には普通の喫茶店レベルの値段でお茶や軽食を楽しめる。いちど,外国からの客人をこの店のランチ営業に案内したことがあり,店員がきれいな英語を話す人でちょっと驚いた(が,アジア人には,そういうきれいな英語は通じないという別の問題があり,・・)。

実況中継のあるファミリーレストラン  大学にたぶん最も近いファミリーレストランがDN。以前,このレストランに入ったときに,誰かはわからないが,とにかく学生が店内にいて,「浦瀬先生ご来店です」「いま注文したようです」「・・・」と研究室にいる学生に対して実況中継をしていたようです。あまりにも詳細なレポートに,読むのが面倒になった研究室の学生が「浦瀬先生だってメシくらい食うだろう。静かに食わせてやれ」とピシャリと返信。とにかく,八王子みなみ駅付近のお店には誰がいるかわからない。教職員は学生のひとりひとりの顔を知らなくても,学生は教職員の顔を知っているので,変なことをすると(別に変なことをしていたわけではないが),すぐに実況中継されてしまいます。

応用生物学部・教授 浦瀬太郎

ポルトガルの国際学会ICS2018に参加してきました!

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応用生物学部 医薬品コースの中村です。7月15日から19日までポルトガルの国際糖質シンポジウム(ICS2018)に参加しました。下の写真は、会場のリスボン大学(写真1)と口頭発表(写真2)の様子です。シンポジウムでは、12部屋に分かれて、16の研究分野の口頭発表とポスター発表がありました。アメリカ、ドイツ、スペイン、オランダ、カナダ、ブラジル、中国、インド、オーストリアなど世界30カ国以上から研究者と学生の参加がありました。日本では猛暑日が続いていますが、リスボンは長袖でもいいほど過ごしやすい気候でした。

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写真1.リスボン大学

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写真2.口頭発表の会場

国際学会では、ラクトフェリンの抗がん活性を調節する糖鎖(糖が鎖状につながった化合物)に関する研究成果を発表しました。昨年のブログで少し紹介しましたが、この研究は2年前に応用生物学部の学部生とバイオニクス専攻の大学院生が協力して立ち上げ、現在も発展しています。「ラクトフェリンと共存させる糖鎖の化学構造の違いにより、ラクトフェリンの抗がん活性の強さが変わること」を世界で初めて確認しており、今回の発表でも注目されました。

宇宙の学校第2弾

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先端食品コースの阿部です。東京はあっという間に梅雨が明け、蒸し暑い日々が続いております。と、思いきや西日本では大雨による大災害。被害に遭われた方の救出と一刻も早い復旧を願っております。

さて、今回は前回のように長い前置きをせず、すぐ本題に入ります。7月8日(日)に第2回の宇宙の学校(八王子市教育委員会、東京八王子プロバスクラブ主催)が開催されました。宇宙の学校とは、前回も簡単には説明しましたが、実際の宇宙に関することだけでなく、日常で起きている現象を実験や工作を通じて、近隣の子供たちに理解してもらうプログラムです。そして、応用生物学部の1年生はサービスラーニングの体験ということで、このイベントのお手伝いをし、また、2年生から4年生までの学生数名も本プログラムのお手伝いをしてくれています。今回の宇宙の学校は、「かさ袋ロケットを飛ばそう」、「風見鶏の効果を調べよう」、「熱気球を作って打ち上げよう」の3本立てでした。今回は教員の参加もいつもより多く、学生が作ったかさ袋ロケットで楽しむ先生も・・・(笑)(写真1)

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写真1. かさ袋ロケットで楽しむY先生

 内容盛りだくさんの1日でしたが、学生全員が協力して、無事に終えることができました。(写真2)特に最後に行った「熱気球を作って打ち上げよう」では、熱気球が打ち上がる度に、参加者や学生から大歓声をあがり(写真3)、とてもよい1日になったと思います。

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写真2. 工作の指導風景

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写真3. 熱気球の打ち上げ風景

高尾山ハイキングに行ってきました

| 投稿者: 応用生物学部スタッフ

みなさん、こんにちは。
水環境工学研究室の筒井です。

先週末、七夕の日に何名かの一年生と一緒に高尾山ハイキングに行ってきました。大学からでも一時間もかからないところにあるにもかかわらず、なかなか行く機会がなかったので、若い一年生に負けないくらい楽しんでしまいました。

登山も楽しかったのですが、個人的に面白かったのが、自生している様々な花です。身の回りではすでに枯れてしまっているものが多い紫陽花も、写真のようにまだつぼみの状態だったりして、低いとはいえ山はやっぱり涼しいんだな、と感じました。

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また、紫陽花以外にも下の写真のような、かわいい花も咲いていました。雨上がりで水滴がのこる、とても綺麗なこの花は、オオバギボウシという植物の花で、若葉は天ぷらやおひたしなどにして食べられる「うるい」という山菜として有名です。

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さらに、ヤマユリももうすぐ咲き始めになるかな、という状態でした。ヤマユリの花は非常に大きく、香りも強いため、満開になったら見ごたえがありそうです。ちなみに、ヤマユリの球根はユリ根として食べることが出来ます。ちょうど翌日に某アイドルグループがユリ根を使って春雨を作っていましたね。なんだか少し前の阿部先生のブログのように食べ物の話ばかりになってきましたので(ちなみに一部の紫陽花には毒があるのでご注意を)、それ以外の話題もしておきましょう。

高尾山の中腹や山頂では東京都を望む景色が見えるのですが、本校はそのどちらからもはっきりと見ることが出来て(写真の丸印の部分)、学生たちと一緒に盛り上がりました。

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中腹にある薬王院では、とある悩み事について、これでもかとお願いをしてきましたので近いうちに良いことがあるはずです!!このように、登っている間はずっと楽しむことが出来ましたし、日頃の運動不足も解消できて、充実した週末を過ごすことが出来ました。高尾山に登ったことのない方は、この機会にいかがでしょうか?

筒井

富山の薬売り

| 投稿者: 応用生物学部スタッフ

6月のある週末、仕事で長野に行ったついでに、富山で観光してきました。長野から富山への移動は、北陸新幹線が開通したおかげでとても楽でした。

富山市の街並みは、路面電車が走っていてなかなかいい雰囲気でした(写真には残念ながら路面電車が写ってませんが・・)。

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また、市内のあちらこちらで、ジェネリック医薬品で有名な日医工など製薬会社の看板や建物を見かけました。そうそう、富山は「富山の薬売り」といって、昔から製薬関連の企業が多いのです。

富山に行った2日後、「富山で食べた魚介類はうまかったな~」と思い出していたら、就活中の4年生から「第1志望の富山県の製薬会社から内々定をいただきました!」という、うれしい連絡がありました。その4年生は富山が地元ではないのですが、富山の製薬関連の企業に絞って就活をしていました。地元に戻って就職することをUターン(ユーターン)就職といいますが、この4年生のように地元ではない地方都市で就職することをIターン(アイターン)就職といいます。これまで自分の研究室の4年生がIターン就職したことがなかったので、こういう就活のやり方もあるんだ、と改めて気づかされた出来事でした。
○○さん、おめでとう!!

有効数字とAI

| 投稿者: 応用生物学部スタッフ

溶液の密度の計算をしましょう。

「3.55 (g) / 5.00 (mL)」はいくつでしょうか。「0.71 (g/mL)」と答えた、そこのあなた! ひょっとして電卓(スマホ?)で計算しましたか。有効数字を考慮すると、正解は「0.710 (g/mL)」となります。

有効数字とは、測定値や計算値として意味をもつ桁だけを表示したもののことで、数値の精度と密接に関係しています。上記の計算の場合は、3桁÷3桁なので、結果も3桁で表すのが科学のルールです。しかし上記の数字だとちょうど割り切れてしまい、計算機上は「0.71」と2桁で表示されてしまいます。せっかく3桁の精度があるのに、2桁で表示すると精度の観点からは損することになります。「0.710」と「0.71」は科学的には雲泥の差です。計算機がはじき出した数字をむやみに信用してはいけないのです。最後は人が判断しないといけません。

実は同じような計算を、現在1年生の必修実験「化学基礎実験」で行っています。計算機で表示される数値(桁)をそのまま信じて答えとして書く学生さんがわりといますので、上記のような解説をしています。

翻って、世の中はなんだかAIブームです。コンピュータが膨大な情報をもとに学習して、人に最適な環境や情報を提供してくれるようで、10年後の私たちの暮らしは大きく快適に変わりそうです。

そこでふと頭の中でリンクしたのが、計算機がはじき出す「有効数字」です。コンピュータが提供する情報は、本当に確かなのでしょうか。「間違っているわけがない」と鵜呑みにしていいのでしょうか。AIは膨大な数の可能性を瞬時に考慮して最適解を提示してくれるので、人間が下手に考えるよりはよっぽど頼れるのかもしれません。しかしその最終判断は人間が下すことが大事ではないでしょうか。もちろんこれをいちいち行うことは現実離れしていますが、少なくとも、ごくたまにでも人間の頭で「それでいいのかな」と吟味してみることが、人間(の尊厳?)として必要ではないでしょうか。

急いで結論を出さず、「ちょっと待てよ」と立ち止まって考えてみる習慣は、いつどんな世の中になっても大事にしたいと思います。

応用生物学部 矢野 和義

雨の日の随想

| 投稿者: 応用生物学部スタッフ

知る人ぞ知る6月19日は桜桃忌,作家,太宰治が玉川上水に身を投げて遺体が上がった日である。また偶然にも?,6月19日は太宰の誕生日であった。今年は没後70年とのことで,文学好きのN先生と桜桃忌にちなんで,お酒でも飲みながら,太宰文学を語りたいと思っている。

個人的な興味で恐縮であるが,太宰については,文学はもちろんのこと,それ以上に?太宰の女性遍歴に大いなる好奇心をそそられるのである。ここでは詳しくは述べないが,太宰は多くの女性から言い寄られ,最後は奥さん以外の女性と入水自殺を遂げた。そのもてっぷりは,ある意味驚異的である。その魅力とは何だったのか?生物工学の研究者の端くれとして,そのもてっぷりメカニズムを是非解明したい・・・・雨の日,ふとそんな妄想が浮かんだ。

太宰の小説を読みながら,現実逃避するのもまた楽しい。日頃の研究とは違う楽しみである。

太宰好きの研究者

宇宙の学校、今年も始まりました。―光り輝く1年生―

| 投稿者: 応用生物学部スタッフ

先端食品コースの阿部です。東京は梅雨真っ只中です。梅雨がない北海道で生まれ育った私にとって、この時期は一年で最も苦手な時期です。特に私は髪の毛が多くクセが強いため、この時期は非常に面倒くさく感じます。そんなジメジメの季節の中、私の心を癒してくれるのは、あの光り輝くお坊さんの頭!ではなく、魚!そう、イワシです!

イワシは魚へんに弱と書き、その名の通り、多くの魚に食べられ、水揚げされては鮮度落ちも早く、また、包丁など使わずとも手で簡単に捌けてしまい・・・(これ以上書くと、イワシがいじけてしまうので止めましょう)と、かわいそうで弱々しいイメージがあります。しかし、この時期のイワシは産卵を終えて、次の産卵に備えて栄養を蓄える時期に入ります。そのため、この時期に獲れるイワシは梅雨イワシとも呼ばれ、魚の王様と言われるタイやマグロに匹敵するほど美味しいのです。あの(私のお腹のように)丸々とした魚体を捌いて、お刺身にすれば、イワシ特有の旨味と香りにジューシーさが加わり、なんとも言えない至福の時を堪能できます。また、お刺身だけでなく、煮付けにしてもフワっとした身の中にしっかりと旨味が残り、ご飯のお供には最高です。(だから、この時期は太っても仕方ない!と言い訳にしています)他にもこの時期の魚で美味しいのは・・・と、こんなことを書いていると、この記事を読んで、お腹をすかして早弁をしてしまう方も出てきそうですから、ここまでにしておきましょう。(自分もお腹がすいてきました)

さて、本題に入りまして、八王子市教育委員会と東京八王子プロバスクラブが主催する「宇宙の学校」が今年も始まりました。「宇宙の学校」とは実際の宇宙に関することだけでなく、日常で起きている現象を実験や工作を通じて、近隣の子供たちに理解してもらうプログラムです。応用生物学部の1年生は毎年このイベントのお手伝いをしています。また、2年生、3年生数名も本イベントの手伝いに参加してくれています。第1回は6月10日(日)に行われ、子供たちと一緒にホバークラフトを作りました。子供たちに教える学生は午前中に工作の研修を受け、午後には子供たちやその御両親の先生になって工作を教えます。普段は我々の授業を聞いて「教わる」側にいる学生が、この日に限っては「教える」側になるので大変なところもあります。しかし、子供達に教えている間に学生はどんどん成長し、子供たちとも打ち解け、非常に有意義な時間を過ごせたようです(写真1、2)。

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写真1. 研修中の様子

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写真2. 工作指導中の様子

・・・どうやら、本題よりもまだイワシの話しが長いようですが、今回の宇宙の学校を通じて、午前中の研修時は人に教えることに対して自信がなく弱々しく見えていた1年生も、本番を通じてたくましく成長していくその姿はまるで梅雨イワシのように光り輝いているように感じました。と、オチもついたところ、お後がよろしいようで。

恐竜が温血動物であるという学説

| 投稿者: 応用生物学部スタッフ

1993年に発表された「ジュラシックパーク」というスピルバーグ監督のヒット映画を皆さんは御存知だろうか?当時は恐竜が生きているように動く特殊撮影が話題になったものである。最も私の興味をそそったのは、ラプトルが高い運動能力のある動物として描かれている点である。時速60Km以上で長時間走行し続け、10m以上のジャンプをする姿は刺激的で、それまで多くの人々が恐竜に対して持っていたイメージ「恐竜は愚鈍な生物」を一変させるのに十分だった。もうひとつ興味をそそったのは、恐竜のあの姿勢である。頭から背骨そして尾まで一直線になっていて、骨盤を中心としてこれが腱で繋がれている構造を基にしているのである。私が小学校のころは背骨はもっと立っていてゴジラと同じような姿勢の動物として描かれていた。このゴジラ型の姿勢では、がに股のような歩き方になり、高速の移動は不可能である。

恐竜が生物進化において成し遂げたものの最も大きな貢献は、骨盤を高く持ち上げ、大腿骨が体軸の真下の方向についていることである。二畳紀の終わりごろ(今から二億五千万年前)には原始的な哺乳類が出現し、温血性を既に獲得していたと考えられるが、三畳紀の初めごろ(今から二億二千万円前)には殆どの哺乳類は絶滅したことがわかっている。これは哺乳類が恐竜類との生存競争に負けたゆえであることに違いないが、その当時の哺乳類はまだ骨盤を、恐竜類ほどには高くもちあげてはいなかった。これは大腿骨が骨盤と連結する角度が、爬虫類よりも斜めではなかったが、恐竜よりも斜めの方向にあったのである。すなわち哺乳類は骨盤を恐竜類ほど高く持ち上げていなかったために運動能力が恐竜類よりもはるかに低く、数百万年という短時間で地球上から駆逐されてしまったのではないか。哺乳類が骨盤を恐竜類と同じように高く持ち上げるのは、ジュラ紀以降ではるかに恐竜類より遅かったことがわかっている。

現在の生物では骨盤を高く持ち上げている生物は、哺乳類と鳥類だけである。恐竜や鳥類において、この姿勢から、運動性能を最大限に引き出すためには、背骨を殆ど水平にして、頭から尾まで一直線にする構造が必要なのである。爬虫類や両生類では、骨盤から大腿骨が斜め方向にでているために、体重を骨盤と大腿骨で支えることができない。このため哺乳類・鳥類と爬虫類・両生類では運動性能に決定的な断絶がある。この背景から、恐竜が骨盤を高く持ち上げる利点を生かさず、その利点を帳消しにしてわざわざ鈍重にゴジラのように動くと考えるほうが不自然であると言える。高速で移動するためには頭を下げ、背骨を一直線にすれば、膝を高く上げ、大きな歩幅で走ることが可能になる。さらにこれらの骨格上の構造的な要件の他に、恐竜の高い運動性能には、二つの生理学的な条件が必要である。

  1. 体温を高く保つこと
  2. 高いガス交換能力

恐竜がこのふたつの能力を備えると研究者が考えるようになったのはいつからなのか?恐竜、特にラプトルやチラノサウルスなどの獣脚類は高い運動能力をもっていたという仮説は、古くは19世紀から存在したが、最も大きな契機は1960年代のエール大学のジョンオストロム教授の小型獣脚類のデイノニクスの研究である。デイノニクスは最初鳥類と間違えられる程、基本的な骨格が類似していた。特に骨盤や下肢の骨格はデイノニクスが現在の鳥類と同じ程度あるいは、それ以上の高い運動能力がある可能性が高いことを示唆していた。デイノニクスがもしそのような高い運動能力があると仮定すれば、体温が普通の状態でも高く維持されているとオストロム教授は考えた。しかしながら当時大多数の専門家は、恐竜は現在の爬虫類に近く、体温を高く維持する能力がなかったと考えていた。このためオストロム教授は周囲との摩擦を避けるためにひかえめに恐竜の温血性を指摘したのだ。デイノニクスは骨格から見て高い運動能力がある可能性が高いが、もしこれが正しいとすると、この小型の獣脚類は温血性を獲得していた可能性があると控えめに主張した。これらの背景から、オストロム教授の研究は恐竜や鳥類を対象とした専門家に高く評価されつつも、一般の人々の、「恐竜は運動能力の低い冷血動物である」という常識に大きな衝撃を与えるものではなかった。

この状況に変化が起こり始めたのは、1970年代にエール大学のオストロム教授の研究室に、ロバートバッカーが大学院生として現れてからである。オストロム教授が、恐竜の温血性の可能性の議論を、小型の獣脚類に限定していたのに対して、バッカーは、獣脚類はもちろんのこと、竜脚類や翼竜までも温血性を持つと考えた。北米古生物学会において、この学説を発表し、賛成と反対入り混じる大きな議論を引き起こした。さらに「恐竜異説」という書籍を発表し、学会の外にいる一般の人々にも、「恐竜温血動物説」を訴えかけた。最終的に、この書籍の発売によって、専門家以外の恐竜に興味のある一般の人々に強い衝撃を与えることとなった。常に理知的で証拠を積み上げるタイプの研究者であるオストロム教授と、新しい仮説を提示し、シンプルなモデルを提示するロバートバッカーのコンビはそれまでの学会と社会の常識をに強い衝撃を与えるのに十分な影響力を持っていた。「恐竜温血動物説」は学会だけでなく、一般の人々をも巻き込んで大きな議論となった。現在では、少なくとも獣脚類や翼竜は温血動物であるとする専門家が多く、2000年代に入ってから、中国において獣脚類に羽毛の痕跡があることが発表され、今や殆ど定説になりつつある。

多くの専門家がバッカーの「恐竜温血動物説」に同意するに至る最も大きな契機は、鳥類だけが持つとされる「気嚢」という構造が恐竜にもあることがわかったことである。気嚢というシステムは肺におけるガス交換の効率を2倍から3倍に上げるためのものであり、車で言えばターボエンジンみたいなものである。鳥類が飛行という特殊能力を見つけることができたのは気嚢によって高いガス交換の能力をもつことができたからだと言える。陸上にいる動物ではチーターが時速120km以上で走行できるが、この状態を10秒と継続できるものではない。実際の走行距離は数百メートルもない。この状態を維持するだけの肺のガス交換の能力を哺乳類は持ち合わせていないためだ。これに対してダチョウは時速60km以上で最低でも何十分も持続して走行することが可能である。この時走行距離は数十キロに及ぶ。このダチョウの、卓越した長時間にわたる走行能力は、哺乳類では到底到達できないレベルのガス交換の能力を持ち合わせているからである。この高い持続的な運動能力こそが、気嚢の存在によって可能になっているのである。気嚢があるということは高い酸素消費があったことを示しており、酸素消費は高い体温と高い運動能力があったことの有力な証拠と考えてよい。実は、現在のダチョウはこの高い運動性能を100%生かしていない。それはダチョウが頭を背骨の上に立てたまま走行するからである。もちろんこれは、見通しが効く草原の中で生きるために肉食動物を警戒するためであるに違いないが、この姿勢は却って運動性能を犠牲にしている。その運動性能を100%生かすためには、頭を下げ、尾まで一直線にすることが必要である。この理想的な走行姿勢こそが、映画ジュラシックパークでみたラプトルの走行姿勢なのである。筆者が想像するに、ラプトルは時速80km程度のスピードで数時間くらいは走行し、ジャンプは10m以上できた可能性がある。この高い運動能力は気嚢があることを前提にしている。ラプトルは時速80km程度のスピードで、他の恐竜を何時間も追跡して、獲物が疲労したところで10m以上のジャンプして仕留めるという狩りの方法を採用していたと考えられる。もし6500万年前の大絶滅において、陸上の小型の肉食獣脚類が1種でも生き残ったら、あるいは哺乳類のイヌ属やネコ属は生存競争に勝てたかどうかはわからない。それ以降の生物進化が大きく異なるものになっていた間違いあるまい。

日本の中学校の生物(第2分野)では「脊椎動物には魚類、両生類、爬虫類、鳥類及び哺乳類」があり、恐竜は爬虫類に分類される」のように教えられているが、実はこの決まり決まった常識を変えるような提案がなされている。この提案の基盤になった研究もあのオストロム教授の研究であり、一部の小型獣脚類は骨格が高い類似性を有していて、鳥類はこのような高い運動能力をもったデイノニクスと似た恐竜から進化したのではないかという仮説である。現在では、鳥類は実は獣脚類の一部のグループとみたほうがいいのではないかと述べる鳥類の専門家も多いのである。すなわち鳥類は小型獣脚類の生き残りということである。するとこの考えに忠実に従うと、「脊椎動物には魚類、両生類、爬虫類、恐竜類及び哺乳類」があり、「鳥類は恐竜類の唯一の生き残り」としたほうがより正確かもしれない。

実は著者は、1976年に岩手県の一関市花泉町というところで、公立の中学校に通う普通の中学生であったが、たしか新書でバッカーの著作「恐竜動物温血説」を読んで、バッカーの歯切れのいい主張に感動し、生物学に興味をもったのである。私が今生物学を専門にしているのは、あの時の食い入るように見た書籍の恐竜の骨の写真にキッカケがあったのである。大学で生物学を専門としてからも、恐竜研究に対して高い関心をもってきたのである。その間、大学院生にすぎないバッカーが今までの常識に挑戦し、その常識をバッサリと切り捨て、新たな仮説を提示していく姿にカッコよさを感じたものである。

応用生物学部 佐藤拓己

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